詳細
1. [基本統計量] ツールの機能
入力範囲の一変量のデータに関する統計的なレポートを作成します。これに
よりデータの中心傾向や、変化の具合などを調べることができます。この基
本統計量は、より詳しい分析を始める前の共通のスタート地点となるものです。
2. [分析ツール] のセットアップ
[基本統計量] ツールを利用するためには、お使いの Excel 5.0 に [分析ツ
ール] アドインをセットアップする必要があります。[ツール] メニューに
[分析ツール] コマンドが含まれていない場合には、[ツール] - [アドイン
マネージャ] コマンドを実行し、[分析ツール] チェックボックスをオン
(×が付いている状態) にして <OK> ボタンをクリックしてください。
また、[アドイン マネージャ] の「登録アドイン一覧」に [分析ツール] チ
ェックボックスが含まれていない場合には、ハードディスクに必要なアド
イン ファイルを追加する必要があります。詳細は、オンライン ヘルプ
「 Excel のオプションを組み込むには」を参照してください。
3. [基本統計量] ツールで得られる情報
[ツール] - [分析ツール] コマンドを実行し「基本統計量」を選択して
<OK> ボタンをクリックスすると [基本統計量] ダイアログ ボックスが
表示されます。
[入力元] グループに含まれる [平均の信頼区間の出力]、[K 番目に大
きな値]、[K 番目に小さな値] チェック ボックス、[出力オプション]
グループに含まれる [統計情報] チェック ボックスのそれぞれをオン
(×が付いている状態) にして必要な数値を入力すると、次の情報を得る
ことができます。
平均 (平均の) 標準誤差 中央値 (メジアン) 最頻値 (モード)
標準偏差 分散 尖度 歪度
範囲 最小 最大 合計
標本数 最大値 (K 番目) 最小値 (K 番目) 信頼区間 (%)
4. 具体例
次の表では、2 列からなる入力範囲 (セル範囲 A1:B11) に 2 つの学生グルー
プから得たテストの点数が入力されています。また、このデータを対象とする
分析の結果は出力先 (セル範囲 D1:G18) に表示されています。
5. 出力された値を関数を使用して求める方法
[基本統計量] ツールによって出力された値は Excel 5.0 に組み込まれている
関数を使用して求めることもできます。本文書で紹介している各関数について
の詳細は、オンライン ヘルプを参照してください。また、それぞれの計算数
式の化学的原理や用語については、市販の専門書などを参照してください。
注意 1
[基本統計量] ツールで出力できる統計情報は全部で 16 項目あります。これ
らの項目をすべて出力するには、[基本統計量] ダイアログ ボックスの [入
力元] グループに含まれる [平均の信頼区間の出力]、[K 番目に大きな値]、
[K 番目に小さな値] チェック ボックス、[出力オプション] グループに含ま
れる [統計情報] チェック ボックスのそれぞれをオン (×が付いている状
態) にして必要な数値を入力する必要があります。
注意 2
統計情報「標準偏差」および「分散」を求める関数 (STDEV 関数、VAR 関数)
の引数で使用する値は母集団の標本であると見なして計算されています。それ
ぞれを母集団全体であると仮定して計算する場合は関数が異なります (STDEVP
関数、VARP 関数を使用) のでご注意ください。
(1) 平均 <Average>
=AVERAGE(データ範囲)
データ全体の平均値に対する個々のデータの絶対偏差の平均を返します。
(2) 標準誤差 <Standard Error>
=STDEV(データ範囲)/SQRT(標本数)
標準偏差 (後述) を標本数の正の平方根で除算した値を返します。
(3) 中央値 <Median (メジアン)>
=MEDIAN(データ範囲)
データ全体の中央値を返します。
(4) 最頻値 <Mode (モード)>
=MODE(データ範囲)
データ全体の最頻値を返します。
(5) 標準偏差 <Standard Deviation>
=STDEV(データ範囲)
引数を母集団の標本であると見なして、母集団に対する標準偏差を返します。
標準偏差とは、統計的な対象となる値がその平均からどれだけ広い範囲に分布
しているかを計算したものです。
(6) 分散 <Variance>
=VAR(データ範囲)
データ全体を母集団の標本であると見なして、母集団に対する分散を返します。
(7) 尖度 (せんど) <Kurtosis (超過係数)>
=KURT(データ範囲)
データ全体の尖度を返します。
尖度とは、対象となるデータの分布を標準分布と比較して、度数分布曲線の相
対的な鋭角度または平坦度を数値で表したものです。尖度が正の数になる場合、
度数分布曲線が相対的に鋭角になっていることを表し、不の数になる場合は、
相対的に平坦になっていることを表します。
(8) 歪度 (わいど) <Skewness (歪度係数)>
=SKEW(データ範囲)
分布の歪度 (α) を返します。
歪度とは、分布の非対称性の方向、及びその程度を表します。
α > 0 のときは右のすそが長く、α <0 のときは左のすそが長くなりま
す。|α| がその程度を表します。
(9) 範囲 <Range>
=MAX(データ範囲)-MIN(データ範囲)
最大 (後述) と最小 (後述) の差を返します。
(10) 最小 <Minimum>
=MIN(データ範囲)
データ全体の最小値を返します。
(11) 最大 <Maximum>
=MAX(データ範囲)
データ全体の最大値を返します。
(12) 合計 <Summary>
=SUM(データ範囲)
データ全体の数値の合計を返します。
(13) 標本数 <Count>
=COUNT(データ範囲)
データ全体の数値の個数を返します。
(14) 最大値 (K) <Largest (K 番目に大きな値)>
=LARGE(範囲,順位)
データ範囲の中で、<順位> で指定された数番目に大きな値を返します。
(15) 最小値 (K) <Smallest (K 番目に小さな値)>
=SMALL(データ範囲,順位)
データ範囲の中で、<順位> で指定された数番目に小さな値を返します。
(16) 信頼区間 (%) <Confidence Level>
=CONFIDENCE(α, 標準偏差, 標本数)
母集団の信頼区間を返します。
信頼区間とは、ある母集団の 100(1-α)% のデータが平均値から見てどの
くらいの開きのある範囲 (計算結果は平均値から見た片側の範囲) に存在
するかを考えたときの、その範囲のことです。
引数 <α> では、信頼度を計算するために使用する有意水準 (危険率と
もいう) を指定します。信頼度は 100(1-α)% で計算されます。つまり
α = 0.05 であるとき、信頼度は 95% です。この場合、母集団の 95% の
データがこの中にあると仮定されます。α の範囲は 0<α <1 です。
[分析ツール] を使用した場合では、[基本統計量] ダイアログ ボック
スの [平均の信頼区間の出力] ボックスで有意水準を設定することがで
きます (初期値は 95% です)。
使用例
郊外に住む会社員 50 人を標本として、通勤時間を調査したところ、片道の
平均時間が 30 分で、母集団の標準偏差は 2.5 になりました。信頼度が
95% (α = 1-95% = 0.05) のとき、母集団の平均に対する信頼区間を求める
には次の式を入力します。
=CONFIDENCE(0.05,2.5,50)
計算結果は 0.692951 となり、95% の社員の通勤時間は 30 ± 0.692951 分
(つまり 29.3 ~ 30.7 分) であるといえます。
6. 関連情報
ハードディスクに必要なアドイン ファイルを追加する方法は以下の情報をご参照
ください。
文書番号: 401680
タイトル: Excel 5.0 (単体製品) の標準セットアップ後に必要なオプション
を追加する方法