本ページは公開が終了した情報の複製であり、掲載時点での情報です。本ページに記載されている内容について各所に問い合わせることはご遠慮下さい。

昭和60年9月17日
日本アイ・ビー・エム㈱

最新のワークステーション
IBMマルチステーション5560登場

 日本アイ・ビー・エム株式会社(椎名武雄社長)は、17日、昭和58年3月の発表以来、数々の機能拡張/強化を行ってきた5550ファミリーの最上位機種として、高性能な16ビット・マイクロ・プロセッサーを採用した「IBMマルチステーション5560」を発表するとともに、同ファミリーの機能強化を行うと発表しました。
今回の発表により、5550ファミリーは、これまで以上に選択の幅が広がるとともに、お客様のニーズにさらに的確にお応えできるようになりました。

 新しいマルチステーション5560は、翌18日から大量出荷を開始できる体制が整っており、日本アイ・ビー・エムおよびIBM特約店が本日より販売いたします。

 発表ハイライトは次の通りです。

IBMマルチステーション5560
I80286(8メガヘルツ)を搭載

 IBM5560は高速大容量の16ビット・マイクロプロセッサー(I80286)(8メガヘルツ)を搭載し、5550/5540システムと比べて、処理能力を一段と向上させた5550ファミリーの最上位機種です。
IBM5560は、5561システム装置を処理装置として、IBM5550と同様に1台3役を果たすマルチステーションで、次の2モデルからなっています。

 主記憶容量は、640キロ・バイトを標準実装し、今回発表した1メガ・バイト記憶アダプターを装着することにより、最大4メガ・バイトまでメモリーを拡張できます。
 外部記憶装置としては、20メガ・バイトのハードディスクを内蔵しており、1,200キロ・バイトのディスケット駆動機構が標準実装されています。従来の720キロ・バイトのディスケットも対応できます。

 また、技術計算用として、高速な数値演算が行える、数値演算共用プロセッサーIII(I80287)の搭載も可能です。

 5560システムは、5550/5540システムのハードウェア、ソフトウェアと基本的に互換性があり、日本語ビジネス・パーソナル・コンピューター、日本語ワード・プロセッサー、日本語オンライン端末として、従来の5550ファミリーのアプリケーションはもとより、「MICRO CADAM(TM)」や「日本語APL」を使用しての設計・技術計算業務やイメージ処理の分野に、よりいっそうの活用ができます。
 さらに、機密保護機構が標準装備され、安全保護錠と安全保護キーにより、機器/データのアクセス管理が行えます。

IBM5577-B01印刷装置
印刷業務の枠を広げる多機能高連プリンター

 IBM5577-B01印刷装置は、大量/長時間の印刷業務に適した多機能・多目的なプリンターで、5560/5550/5540の全モデルに接続可能です。
 広範な用紙に対応でき、また用紙の取扱いが簡便なため、適用業務の範囲を拡大することができます。
 印刷速度も単にプリント・ヘッドの瞬間スピードだけでなく、時間あたりの高速処理を目指したプリント・ロジック等を採用した設計になっています。
 お客様のニーズを反映し、従来の5557/5553印刷装置の機能、性能、および操作性をいっそう拡充・強化しているため、大量の印刷を必要とするシステム向きの印刷装置です。

 5577-B01印刷装置の特徴は、次の通りです。

メモリー関連製品 ユーザー・プログラム域の拡大

 IBM5560/5550/5540共通に使用できる「多重記憶アダプター」として384キロ・バイトと768キロ・バイトの容量を持つ2種類を発表しました。
 多重記憶アダプターは、次の3つの用途に使用できる機能を持っています。

通常の増設用メモリー

オプション・カード用スロットに多重記憶アダプターを増設することにより、「通常のメモリー」として使用できます。

仮想ディスク用ファイル領域

 今回発表の「日本語DOS バージョンK2.60」の下で、簡単な指定をすることにより、多重記憶アダプターによる増設分を含む5560/5550/5540システムのメモリーをあたかも複数のハードディスク/ディスケット駆動機構のファイル領域(これを仮想ディスク域と呼ぶ)であるかのように使用することができます。
 この「仮想ディスク」はメモリー・アクセスの速度で、ファイルの読み書きをするため、機械的な動作を伴う通常のハードディスクやディスケットのファイルに比べ、高速での処理が可能です。
 使用頻度の高いファイルにこれを使用することによって処理能力/応答性の向上が計れます。
 5560システムでは、この「仮想ディスク」用に今回発表の大容量1メガ・バイト記憶アダプターも使用可能です。

メモリー・バンク

 多重記憶アダプターを設置し、今回発表の「日本語DOS バージョンK2.60」と、今回同じく発表された「日本語3270パーソナル・コンピューター バージョン5.0」または「日本語3270パーソナル・コンピューター/グラフィックス バージョン4.0」とともに使用することにより、メモリーの有効利用が図れる「メモリー・バンク切替機能」がシステムにより自動的に行われます。
 「メモリー・バンク切替機能」により、5550ファミリーは、日本語3270オンライン端末として使用する場合、プログラム域として最大1メガ・バイトのメモリーが実装できるようになり、日本語3270パーソナル・コンピューターや日本語パーソナル・コンピューター/グラフィックスの下でのパーソナル・コンピューター適用業務プログラムとして、より大きなプログラムを使用できることになります。

 以上の新製品、機能強化に加えて、従来の文書作成機能をさらに拡張した「文書プログラム バージョン5.0」を発表しました。これにより、文書作成・更新作業中に簡単にビジネスグラフ・地図・図面・フローチャート等の作成や文の強調点に網掛けを行うことができるようになっています。
 文字サイズについても、4倍角および縦倍角文字の追加、字間・行間の自由設定により原稿用紙や定型用紙の使用が可能になりました。
 さらに、12ポイント・フォント(4号活字)の印刷機能が利用できるようになり、特に特許の申請など通常より大きなサイズの文字を必要とする文書作成に有効です。
 これら文書作成機能の強化により、5550/5540および今回発表の5560システムをさらに本格的なワープロ専用機としても利用できることになりました。

 キーボードに関しても、従来の1型鍵盤にAPL文字等を追加配列した「A1型鍵盤(APL用)」を新たに発表しました。これにより、ホスト・コンピューターで稼働しているAPLを5550ファミリー上で利用できるようになります。

 また、本日発表のIEEE488アダプターを使用し、日本語3270パーソナルコンピューター/グラフィックスのもとで、IBM7371/7372カラー作図装置により、美しいカラー図形等が高速で出力できます。
さらに、新しい適用業務プログラムとして、自動実行ユーティリティーを発表しました。このユーティリティーを使うと、キーボードから入力すべきコマンドを、あらかじめキーボード・データ・ファイルに登録することにより、定型業務の自動運転が可能となります。


価格、出荷開始日 18日より大量出荷開始

 IBMマルチステーション5560の販売価格は、5561-H08(メモリー・サイズ:640KB、ハードディスク:20MB、1型鍵盤、15型モノクローム・ディスプレイの構成)が141万3,000円です。出荷は9月18日から開始します。

 なお、今回同時に、2種類の14型カラー・ディスプレイ(24ドット/16ドット用)の価格を4万円値下げし、17万9,000円としました。

 本日発表しました、その他の主な製品の価格および出荷時期は次の通りです。

ハードウェア 標準価格(円) 出荷開始予定日
5577-B01印刷装置 450,000 昭和60年9月18日
自動給紙機構(5577用) 98,000 昭和60年9月18日
フォント・カートリッジ 50,000 昭和60年9月18日
数値演算共用プロセッサーⅢ 110,000 昭和60年9月18日
384KB多重記憶アダプター 150,000 昭和60年9月18日
768KB多重記憶アダプター 210,000 昭和60年9月18日
1MB記憶アダプター 250,000 昭和60年9月18日
A1型鍵盤(APL用) 60,000 昭和60年10月31日
IEEE488アダプター 75,000 昭和60年10月31日
ソフトウェア 標準価格(円) 出荷開始予定日
日本語3270パーソナル・コンピューター バージョン5.0 85,000 昭和60年9月18日
日本語3270パーソナル・コンピューター/グラフィックス バージョン4.0 110,000 昭和60年12月23日
文書プログラム バージョン5.0 115,000 昭和60年9月18日
12ポイント・フォント(拡張文字セット) 25,000 昭和60年9月18日
自動実行ユーティリティー 20,000 昭和60年12月16日

マルチステーション関連図

図 IBM5550機能拡張-Ⅰ図 IBM5550機能拡張-Ⅰ

図 IBM5550機能拡張-Ⅱ図 IBM5550機能拡張-Ⅱ

inserted by FC2 system