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昭和56年12月3日
新しいプロセッサーとプログラミング
および新しいアーキテクチャーを発表
日本アイ・ビー・エム株式会社(椎名武雄社長)は、3日、IBMの大型システムのユーザー向けに、より大きな処理能力を持つプロセッサー、将来におけるシステムの拡張に備えるための新しいアーキテクチャーおよびこのアーキテクチャーをサポートするシステム制御プログラミングを発表しました。その概略は次の通りです。
- IBM3081-K型プロセッサー
- システム/370拡張アーキテクチャー
- 新しいシステム制御プログラミング
- 新しい記憶サブシステム
- 分散処理機能の拡張
- IBM3033-S型プロセッサーの機能拡張
強化された大型システムと新しいアーキテクチャー
従来の3081-D型プロセッサーに比べて内部処理能力を30〜40パーセント強化したIBM3081-K型プロセッサーの主記憶容量は最大32メガバイト(1メガ=100万)、チャネルの最大は24本です。新しいIBM3081-K型プロセッサーへの移行は、ユーザーの設置現場で行うことができます。
また、3081のような大型プロセッサーがより効果的に稼働できる体系を目指して開発されたシステム/370拡張アーキテクチャーでは、31ビット・アドレッシングにより、2ギガバイト(20億バイト)の仮想/実記憶域のアドレスが可能であり、動的チャネル・サブシステムにより効率的なチャネルの利用が出来るため、システム全体のスループットが向上します。
IBM3033-S型プロセッサーの主記憶容量は、従来の2倍の16メガバイトまで増強されました。さらに、3033-S型の命令実行速度を現行に比べ8〜10パーセント改善するための技術変更を無料で行え、その処理能力が向上します。IBM3033-S型プロセッサーはその設置現場でより強力な3033プロセッサーのN型あるいは直接U型へ拡張することができ、さらに多重プロセッサー(MP)あるいは付加プロセッサー(AP)へと処理能力を強化することができます。
新しい制御プログラミング
IBM3081プロセッサーに対して将来のシステム規模の更に大幅な拡張を可能にする新しいシステム/370拡張アーキテクチャーが本日発表されましたが、この超大型DPシステムの土台とも言うべきアーキテクチャー上の拡張をサポートする新しいMVSの制御プログラミングとしてMVS/システム・プロダクト第2版が発表され、主として仮想記憶域、実記憶域、入出力処理およびシステム信頼性の能力が、将来のシステムの成長を無理なく吸収できるよう大幅に拡張されています。同時に既存のプログラム、データを変更せずに、新しいアーキテクチャーのもとで動かすことができるよう互換性も保たれています。
また現行のシステム/370アーキテクチャーをサポートするMVS/SP第1版およびVM/SPにも新しいリリースが発表され、IBM3033および3081プロセッサーの機能をシステム/370アーキテクチャーのもとでも更に効率よく使用できるよう強化されています。改善された主な機能はシステム管理、分散データ処理および大型プロセッサーの処理能力の向上等です。
新しい記憶サブシステム
新しいIBM3880記憶サブシステムは、高速緩衝記憶機構を採用したことにより、利用頻度の高いデータの処理効率を高め、データ管理機能を改善しました。この記憶管理システムは端末機における応答時間をより速く、また安定させることができるため、IBM3350やIBM3380等の磁気ディスク装置を効率良く使用できます。
価格・出荷開始時期等
IBM3081-K型プロセッサーの価格は、処理装置、プロセッサー制御装置、電源装置、冷却水配分装置、操作卓と16本のチャネル、16メガバイトの中央記憶機構を持つモデルで販売価格が約10億6,182万円、48か月のリース契約で月額約3,033万円です。同じく24本のチャネル、32メガバイトの中央記憶機構を備えたものは、販売価格で約11億8,282万円、48か月リース契約で月額約3,366万円です。
IBM3033-S型プロセッサーの価格は、処理装置、電力・冷却水配分装置、操作卓の構成で6本のチャネル、12メガバイトの主記憶機構を備えたモデルの場合、販売価格で約3億7,118万円、48か月リース契約で月額約2,115万円です。同じく主記憶機構を16メガバイトにしたモデルは、販売価格で約4億1,182万円、48か月リース契約で月額約2,436万円です。
IBM3880-11型磁気ディスク制御装置の販売価格は約5,900万円、24か月リース契約では月額約142万円です。また、同-13型の販売価格は約4,668万円〜6,136万円、同リースでは月額約112万円〜148万円です。
3081-K型と12、16メガバイトの3033-S型の出荷開始時期は、ともに昭和57年第3四半期の予定です。
両プロセッサーとも米国IBM、ポーケプシー(ニューヨーク州)で開発され、日本アイ・ビー・エム野洲工場で製造されます。
3880磁気ディスク装置の客先向け出荷は、11型が昭和57年第3四半期、13型が同年第4四半期の予定です。製造は日本アイ・ビー・エム藤沢工場で行われます。
ソフトウェア関係の料金、使用可能時期は次の通りです。
|
イニシャル料金 |
月額使用料金 |
使用可能時期 |
MVS/SP JES2 第2版 |
300万円 |
約113万円 |
昭和58年4月 |
MVS/SP JES3 第2版 |
約338万円 |
約138万円 |
同上 |
MVS/SP JES2 第1版リリース3.1 |
― |
47万円 |
昭和57年4月 |
同 リリース3.2 |
― |
同上 |
同年10月 |
同 リリース3.3 |
― |
同上 |
昭和58年4月 |
MVS/SP JES3 第1版リリース3.1 |
― |
約57万円 |
昭和57年4月 |
MVS/操作員通信管理機能 |
約23万円 |
約8万円 |
同年10月 |
VM/拡張アーキテクチャー
移行支援プログラム |
約263万円 |
100万円 |
昭和59年1月 |
VM/SP高性能オプション・リリース1 |
105万円 |
約38万円 |
昭和57年2月 |
同 リリース2 |
同上 |
同上 |
同年7月 |
同 リリース3 |
同上 |
同上 |
昭和58年4月 |
VM/SPリリース2 |
― |
約8万円 |
昭和57年7月 |
RSCSネットワーキング・リリース3 |
― |
約2万円 |
同上 |
VM/通過プログラム・リリース2 |
― |
約4万円 |
同上 |
(注:イニシャル料金は月額使用料金とは別に、プログラム使用開始時点でのみ発生するものです。また、月額使用料金は、プログラム・サポート料金を含んだものです。)
〔IBM3081-K型プロセッサー、3033-S型プロセッサーの新モデル、新しい制御プログラミング、システム/370拡張アーキテクチャーについては、補足資料1を、新しい記憶サブシステムについては補足資料2を、分散処理機能については補足資料3をご参照ください。〕
<補足資料1>
本日発表の新しいプロセッサー、システム制御プログラミング並びに磁気ディスク制御装置は、大型システムのユーザーに対して、処理能力を向上させるとともにデータ処理における将来への道標を提案するものです。
新しい3081-K型プロセッサー
- 既発表の3081(3081-D型)に比べて内部処理能力で1.3〜1.4倍
- 優れた価格性能比
- 16, 24または32メガバイトの主記憶容量
- 16または24本のチャネル
- 2台の中央処理機構が中央記憶機構を共用し、1つのシステム制御プログラミングの下で稼働
- 高速緩衝記憶機構は中央処理機構当たり64Kバイト
- 命令の解読/実行の並行処理
- 3081-D型から今回発表のK型への移行は客先設置場所で可能
システム/370拡張アーキテクチャー
- 3081プロセッサーの処理能力を最大限に発揮させるアーキテクチャー
- 拡張アーキテクチャーは、本日発表のMVS/SP第2版によりサポート
- アドレッシング可能記憶域の拡張。最大20億(2ギガ)バイトの仮想/実記憶域が、31ビット・アドレッシングによりアドレス可能
- 24ビットと31ビット・アドレッシングの両プログラムを同時に実行できるので、ほとんどの既存プログラムは実行可能
- 従来、ソフトウェアで行っていた入出力待ち行列処理、チャネル経路選択などをマイクロコード化し、チャネルに任せたため、プロセッサーがより効率的にオペレーション可能
- MVS/SP第2版により、3081に接続可能な装置の台数は、従来の最高1,917台から4,080台に増加
- システム/370拡張アーキテクチャーによりサポートされる動的チャネル・サブシステムによって、3081の2つの中央処理機構のどちらからも任意のチャネルにアクセスでき、かつどの入出力装置からの割込みの受付けも可能
- MVS/SP第2版への拡張を容易にするためのVM/拡張アーキテクチャー移行支援プログラムの発表
強化された大型システムのシステム制御プログラミング
- 新しく発表されたシステム/370拡張アーキテクチャーをサポートするシステム制御プログラミング、MVS/システム・プロダクト第2版の発表
- MVS/システム・プロダクト第2版によりユーザーは
- 31ビット仮想記憶域アドレッシング
- 31ビット実記憶域アドレッシング
- 新しい動的チャネル・サブシステムによる効率的かつ柔軟性に富んだ入出力処理
- 更に向上したシステムRAS(信頼性、可用性、保守容易性)
等の新しいアーキテクチャーの利点を享受できる。
- 現行のシステム/370アーキテクチャーをサポートするMVS/システム・プロダクト第1版とVM/システム・プロダクトおよび関連プログラムの新しいリリースの発表
- 本日発表のIBM3880-11型および同13型記憶サブシステムのMVS/SP第1版新リリースによるサポート
- MVS/SP-JES2第1版の新しいリリースは、本日発表のプログラム・プロダクトであるMVS/OCCF(MVS/操作員通信管理機能)をサポートし、遠隔地にある複数のMVS-4341プロセッサー等に対しホスト側の操作員による制御を可能にする
- MVS/SP-JES2第1版の新リリースは、ユーザーの要求に応じてJES2機能を更に柔軟に変更できる
- VM制御プログラムの拡張によって、大型システムにおける性能の向上、新しい装置のサポート、および柔軟性の富んだプログラムの作成やオペレーションが可能
- VM/SP(VM/システム・プロダクト)を拡張した新しいプログラム・プロダクトであるVM/SP高性能オプション(VM/SP・HPO)によって、3033と3081プロセッサーの性能向上
- VM/SP・HPOリリース1は、3081プロセッサーでの会話型モニター・システム(VM/CMS)の性能を向上
- VM/SP・HPOリリース2は、
- 3081プロセッサーの全モデルをサポート
- 優先仮想計算機補助機構(PMA)を備えた3033と3081プロセッサーにおいて、VMの下で動いているMVSの性能を向上
- VMの下で動いているMVSのユーザーは、既発表の3033拡張機構を利用可能
- 16メガバイトを超え最大32メガバイトまでの実記憶アドレスをMVS/SP仮想計算機によりサポート
- VM/SP・HPOリリース3は、本日発表の3880-11型をサポート、また、最大32メガバイトまでの実記憶アドレスをVMの制御プログラム(CP)が制御可能
- 新しいVM/SPリリース2は、システムの稼働を容易にする電算機要員用の生産性向上エイドを提供し、またエンド・ユーザーの生産性を向上させる機能を提供し、さらにシステムからの操作員へのメッセージ出力を省略、またはメッセージを他のシステムへ転送、あるいはメッセージに対する応答をあらかじめ定義しておき、自動応答させることができるプログラム式操作員機能を提供
3033-S型プロセッサーの強化
- 新しい12と16メガバイトの主記憶容量(従来は最高8メガバイト)
- 1Kバイトの高速緩衝記憶機構(従来の2倍)
- 現行モデルの高速緩衝記憶機構の拡張は無料
- 現行モデルに比べ性能が8〜10パーセント向上
- 3033-N型、または直接3033-U型へ設置場所で拡張可能。さらに3033MPまたは3033APに拡張可能
<補足資料2>
新しい記憶サブシステム
- IBM3880-11型および13型磁気ディスク制御装置の発表
- これらの制御装置に磁気ディスク装置を接続することにより最高毎秒3メガバイト(300万文字)の速度でデータ転送可能な高速記憶サブシステムを構成
●IBM3880-11型磁気ディスク制御装置
- 現行モデルと同様にマイクロダイエットによる2つの記憶ディレクターを備えており、このうちの一方を強化(ページング・データ記憶を高速化)
- このページング記憶ディレクターは、最高4台の3350磁気ディスク装置を接続し、8メガバイトの高速緩衝記憶機構をダイナミックに管理。すなわち、プロセッサーとの間で最高毎秒3メガバイトの速度でページング入出力(プログラム命令の4Kバイト単位のやりとり)を実行
- 毎秒1.5, 2, 3メガバイトの転送速度を備えたチャネルを介してシステム/370モデル158と168、4341プロセッサー、303X、3081プロセッサーに接続可能
- MVS/SP第1版リリース3.1およびVM/SP高性能オプション・リリース3でサポート
●IBM3880-13型磁気ディスク制御装置
- 2つの記憶ディレクターを持ち、最高8台までの3380磁気ディスク装置を接続
- 4メガないし8メガバイトの高速緩衝記憶機構をダイナミックに管理
- 適用業務とシステム・データを取り扱い、毎秒3メガバイトの速度で転送可能
- 毎秒3メガバイトの転送速度を備えたチャネルを介してIBM4341、303X、3081プロセッサーに接続可能
- MVS/SP第1版リリース3.1でサポート
ダイナミックな記憶データ管理
- 最もよく使われるデータを高速緩衝記憶機構に記憶し、使用頻度が減少すると、そのデータを自動的に磁気ディスク装置に移動させる。すなわち、マイクロ・プログラムによりデータをダイナミックに管理
- システムのスループットの向上
- 現行の磁気ディスク装置の能力強化
- 端末装置の応答時間の短縮
<補足資料3>
新しい分散処理機能
- 遠隔地に設置されたIBM4300プロセッサーをホスト側プロセッサーの操作員が制御できる新しい機能の提供により、分散データ処理(DDP)能力が一段と向上
- ホスト側プロセッサーでMVSかVMを使っている場合、新しい遠隔制御卓機能(ROCF)を遠隔地の4300プロセッサーに導入し、その遠隔地の4300プロセッサーの初期マイクロ・プログラム・ロード(IML)と初期プログラム・ロード(IPL)やその他の各種制御(たとえばリセット、再スタート等)およびパワー・オフ(ただし、CPUおよびCPUのパワーによって自動的にパワー・オフされる入出力装置のみ)の機能をホスト側から実行可能
ホスト側がMVSの場合
- MVS/OCCF(操作員通信管理機能)を使って、遠隔地の4300プロセッサーのIML/IPLやその他の制御をホスト側から実行可能
- IML/IPL完了後、プログラム・プロダクトのMVS/OCCFは、MVS/SP JES2第1版リリース3.2以降の下で拡張された分散データ処理の機能とプログラム式操作員機能を提供するため、ホスト・システム(4341, 303X, 3081)から遠隔地の4300プロセッサーの操作が可能
ホスト側がVMの場合
- VM/SPリリース2とVM/透過プログラム・リリース2を使って、遠隔地の4300プロセッサーのIML/IPLやその他の制御をホスト側から実行可能
- IML/IPL完了後、VM/SPリリース2のプログラム式操作員機能と遠隔スプーリング通信サブシステム・ネットワーキング・リリース3によって、遠隔地のVMで稼働している4300プロセッサーの操作が可能