NEC PC-9821Xp/Xs/Xeの内蔵IDE-FXDをCF化

Image: NEC PC-98 with CF Card

日本電気PC-9821Xp/Xs/Xeの内蔵固定ディスク\をコンパクトフラッシュメモリーカードに置き換えてデータを移行するまでの過程。別に大したことはしていません。

手持ちのNEC PC-9821Xp/C8W内蔵340MB FXD(Western Digital Caviar 2340)が最近になって動作中にカコンカコンと音を立てるようになりました。既に製造から18年が経過しており、故障するのも時間の問題だと思うのでCF化することにしました。
PC98のFXDをCF化する話はずいぶん前から取り上げられていますが、改造マニアが多いPC98ユーザーにとってはいちいち取り上げるほどの話ではないのか、具体的な方法が記されたサイトがありません。そこで、CF化までの過程をここに記しておこうと思います。今回はPC-9821Xp/C8Wで作業を行っていますが、PC-9821Xs/Xeも内部の構造はCPU周り以外はだいたい同じなのでまとめて扱うことにします。

○前提条件

まず換装するPC98の固定ディスクインターフェースがIDE(互換)であることを確認します。PC-9821Xp/Xs/Xeは一般的な40ピン端子です。PC-9801シリーズやPC-9821シリーズの初期の機種ではSASIインターフェースだったりSCSIインターフェースだったりするので、ちゃんと確認しておきましょう。また、機種によって544MBの壁や4.56GBの壁が存在します。PC-9821Xp/Xs/Xeの場合は4.56GBの壁があるので、それ以上の容量のディスクドライブを接続するとメモリカウントの後にフリーズします。ストレージメーカーが提供するツールやICCなどのソフトで容量をごまかせば大容量ドライブを流用できますが、CFカードに対して使えるかどうかはわかりません。

○方法

1. 必要なものをそろえる。

CFカードはそれ自身がIDEハードディスクのように動作するため、IDEインターフェースにつなぐだけで使えますが、端子の形状が違うのでそのままでは実装できません。変換基板や変換ケーブルが必要です。今回はエアリア(世田谷電機) 玉川 AR-IDE1CF400Transcend 4GB CF CARD TS4GCF133SANWA SUPPLY 電源ケーブル 0.15m TK-PW74を使用しました。CF変換基板は形や種類が豊富にありますが、ものによっては起動ドライブとして使えないことや、基板が他の部品と干渉することがあるので、そのあたりが問題ないかどうか確認します。(他に前例がなければやってみるしかありませんが。)

2. IDEセカンダリマスターにCFカードを実装する。

玉川にはCFカードを2枚実装できますが、マスターのスロットにCFカードを1枚だけ実装します。基板に「CF1 master」と書かれたスロットがマスター側です。PC-9821Xp/Xs/Xeの固定ディスクインターフェースは完全なIDEインターフェースではないらしく、1つの端子に2つのディスクドライブを接続すると不具合が生じることがあります。

本体のカバーを外し、正面から見てマザーボードの右側にある40ピン端子にCFカード+変換基板を接続します。CD-ROMドライブ内蔵モデルの場合は先にCDドライブを外しておきます。
下はPC-9821Xpのマザーボードの写真です。左が正面側になります。
PC-9821Xp Main Board

CF変換基板にはFDD用電源端子(Molex 8981準拠)に電源を供給する必要がありますが、この際に必ずCDドライブと繋がっていた小4ピン→大4ピンの電源ケーブルと入手した変換ケーブルを使って大4ピンの端子から電源を取ります。マザーボード上の小4ピンの端子は+5Vと+12Vのピン配置が逆のため、これをそのまま使うとシステムの電源を入れた瞬間にCFカードに+12Vがかかって破損します。CD-ROM非搭載モデルでマザーボードの小4ピンの端子を使う場合は、変換ケーブルの配線を入れ替えるなどの改造が必要です。心配なら電圧計でピンの電圧を測ることをお勧めします。

3. CFカードの初期化・領域確保(フォーマット)を行う。

MS-DOSを起動してFORMATコマンドを実行します。
「装置名」で「固定ディスク」を選択。「装置番号」を変更して「マップ」を選択。容量(サイズ)が正しいことを確認します。

現在選択している装置がCFカードであることを確認できたら、「初期化」を実行します。

「領域確保」を選択してMS-DOSの領域を作成します。MS-DOSではFAT16ファイルシステムの制限により作成できる領域の容量は最大2GBです。4GBのCFカードでは最小でも2つの領域に分割することになります。
「システム」は「転送する」を選択します。領域確保が完了したらFORMATコマンドを終了してシステムをリセット(再起動)します。

4. データを移行する。

MS-DOSが起動したら、「SMARTDRV」を実行してディスクキャッシュを導入しておきます。
次にコマンドラインで「XCOPY /S A:\ B:\」を実行します。これによってAドライブ(固定ディスク)のすべてのディレクトリ・ファイルがBドライブ(CFカード)にコピーされます。
作業が完了したらAドライブのファイルを削除しても構いません。ただし固定ディスクにリカバリ領域がある場合は必ず先にバックアップツールを使ってリカバリディスクを作成しておきます。

5. 内蔵固定ディスクをCFカードに換装する。

システムの電源を切り、CF基板を外します。
正面から見て左側に固定ディスクがあるので、このIDEケーブルを外してCF基板を接続します。こちらも同じように、元から固定ディスクに付いていた小4ピン→大4ピンの電源ケーブルと大4ピン→小4ピン変換ケーブルを使うか、ピン配列を入れ替えた小4ピンケーブルを使います。

上の写真では、MB側端子は左から+12V,0,0,+5Vですが、HDD/CF側端子は+5V,0,0,+12Vになります。

6. 動作確認をする。

システムの電源を入れてMS-DOSが起動することを確認します。動作音が電源ファンの音しかしないため、かなり静かになります。CFカードの読み書き中はちゃんと前面パネルのアクセスランプが点灯します。
Windows 3.1を導入している場合はWindows初回起動時に「常設スワップファイルが壊れています」というメッセージが表示されることがあります。Yキーを押すとWindowsが起動するので、画面の指示通り「コントロールパネル」から「エンハンスドモード」を開き「スワップファイルの設定」でスワップファイルを再度設定します。
Corrupt swap file.

今回使用したTranscendのCFカードでは10000回の書き込み・消去に対する耐久性能があるようです。回数をそれほど気にする必要は無いでしょうが、大事なデータは定期的にMOなどにバックアップしておきましょう。


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