IBM DOS J4.0/V 発表資料

日本IBMが1990年10月11日に発表した報道資料です。DOS/Vの最初のバージョンであるDOS J4.0/Vに関する情報はこういう形で発表されていました。

入力していて気付きましたが、よく読むとDOS J4.0/Vについて「低価格パーソナル・コンピューター」用のオペレーティング・システムとして紹介されています。ここだけ抜粋すれば暗にPC/AT互換機のことを指しているようにも読めますが、単にPS/55Zを指しているようでもあり、微妙なところです。全体的には、やはりPS/55シリーズの紹介という感じですね。よく「DOS J4.0/VはPS/55 5535-S専用のOSとして発表された」と書かれていますが、これを読めばPS/55Zにも対応していることが分かります。ただ、日本IBMとしては初めてのVGA専用機であったので、それと混同したのか、一部のメディアではそのようなニュアンスで紹介されていたことも事実です。


1990年10月11日
日本アイ・ビー・エム

PS/55に業界最高速モデル登場

日本アイ・ビー・エム株式会社(椎名武雄社長)は11日、最新鋭の32ビット・マイクロ・プロセッサーを搭載した業界最高速モデルを含む「IBMパーソナルシステム/55(PS/55)」の新モデル4種と関連ソフトウェアなど、パーソナルシステムの利用環境を強力に支援する製品群を発表しました。

現代のパーソナルシステムを活用した適用業務の世界は、単体としての利用はもちろん、複数のシステムを接続してLANを構築したり、ホスト・コンピューターなど他のシステムと接続するなど、高度で複雑多彩なシステム環境になっています。さらに、マルチメディアなど大容量のデータを活用した適用業務の高速処理や、高度な機能を備えた適用業務の限られたスペースでの利用などに対するニーズが高まっています。

今回の発表は、こうしたパーソナル・コンピューティング分野で、先進オフィス・システム構築のためのソリューションの拡充を図るもので、主な新製品は次の5項目です。

  1. 最新鋭32ビット・マイクロ・プロセッサー(i486)を搭載、業界最高速の最上位モデル「PS/55モデル5580-Y」と、「同5560-W」
  2. OS/2に対応し、省スペース化と価格性能比を向上させた32ビット・モデル「PS/55モデル5540-T」
  3. マイクロチャネル・アーキテクチャーを採用し、IBMのディスプレイ表示規格(VGA)に対応した32ビット・ラップトップ「PS/55モデル5535-S」
  4. 新製品の32ビット・ラップトップや低価格パーソナル・コンピューター用のオペレーティング・システムで、マルチメディア環境の基盤ともなる「IBM DOS バージョンJ4.0/V」
  5. 再生紙にも対応したレーザー・プリンターの新モデル「IBM5587-H01 印刷装置」

PS/55ファミリーの4つの新モデルの発表により、最上位機種「モデル5580」からラップトップの「モデル5535-S」、最下位機種の「モデル5530-T」および高性能で低価格の「PS/55ZモデルSX」まで、IBMパーソナルシステムは一部を除く全9機種が32ビット化したことになります。

今回の発表により、高性能で豊富な品揃えの「PS/55ファミリー」と小規模企業、個人ユーザー、教育分野等向けの普及型PC「PS/55Z」をはじめ、IBMの先進的なパーソナル・コンピューティングの世界がさらに広がり、既発表のマルチメディア関連製品を有効に活用できる環境も一段と充実しました。ユーザーは豊富な品揃えの中から適用業務やシステム規模、オフィス・スペースに合わせて、最適なパーソナルシステムを選択できます。

なお、今回発表した製品の開発は当社大和研究所、製造は主に藤沢工場で行い、当社とIBM特約店で販売します。また主な製品は、東京・晴海で開催される「データショウ'90」(10月22日?25日)に出展します。

今回発表した主な製品の概要は次の通りです。

1. PS/55モデル5580-YとPS/55モデル5560-W

(引用者注:省略)

2. PS/55モデル5540-T

(引用者注:省略)

3. PS/55モデル5535-S

省スペースと可搬性を重視し通信機能も充実させた高性能なラップトップ・モデルで、32ビット・マイクロ・プロセッサー(I80386SX 16MHz)とマイクロチャネル・アーキテクチャーを採用しています。高輝度、高画質の16階調のバックライト付き白黒液晶パネルは16ドットで日本語を表示し、IBMのディスプレイ表示の規格であるVGA(Video Graphics Array:表示解像度640×480)に対応しています。オペレーティング・システム(IBM DOSバージョンJ4.0/V)の事前導入の有無により2つのモデルがあり、主記憶容量2メガ・バイト、ハードディスク容量40メガ・バイト、重量6.8kgです。また、PS/55の入出力装置とPS/2の豊富なソフトウェアをそのまま利用できます。収納スペースをあまり意識せず、あらゆる場所で高機能なビジネス・コンピューティング環境を実現できます。

4. IBM DOSバージョンJ4.0/V

新製品の「PS/55モデル5535-S」と、「PS/55モデル5550-V」および「PS/55Z」で利用できます。PS/2で実績のあるIBMのディスプレイ表示の規格であるVGAを日本語の環境で利用するために新たに設計されたOSで、低価格・携帯型のパーソナル・システムと今後の重要分野であるマルチメディア環境の基盤となるものです。

また、PS/2のバイオス(BIOS:Basic Input/Output System―システム装置本体と表示装置やキーボードなどとのデータのやり取りを制御するプログラム)を拡張し、日本語にも対応できるように設計した点も大きな特徴です。これにより新OSに対応したハードウェアでは、PS/2のほとんどの英文仕様の適用業務プログラムをそのまま利用できる上、これらのソフトウェアをソフトウェア開発企業が日本語化する作業も容易になります。解像度以外の機能は「IBM DOSバージョンJ4.0」と同等です。

現在のPS/55シリーズのOSは、1,024×768ドットの表示解像度に24ドットで日本語を表示するよう対応しますが、ラップトップ・モデルや低価格のパーソナルシステム等、高解像度のディスプレイを採用することが価格的、技術的に困難な製品は、表示解像度640×480ドットのVGAの採用によって、価格性能比に秀でた競争力のある製品を低価格で実現できます。また、VGAは動画像をコンピューター・システムに取り込んだり、コンピューターの文字データと合わせて利用する機能が通常のテレビよりも優れ、かつ音声やグラフィック表示等のアナログ・データにも対応、マルチメディア・システムに最適です。さらに膨大なデータを必要とする音声や画像などの取り扱いも、VGAならば効率よく処理できます。

5. 5587-H01印刷装置

(引用者注:省略)

主な製品の価格および利用料金と出荷予定時期は以下の通りです。

製品名 価格および利用料金(消費税抜き) 出荷予定時期
PS/55モデル5580-Y ¥2,828,000.から(システム構成) 1990年11月15日
PS/55モデル5560-W ¥2,226,000.から(システム構成) 1990年10月15日
PS/55モデル5540-T ¥996,000.(システム構成) 1990年11月5日
PS/55モデル5535-S ¥607,000.(システム構成) 1990年11月26日
IBM DOSJ4.0/V ¥40,000.(一括払利用料金) 1990年11月5日
5587-H01印刷装置 ¥758,000. 1990年10月11日

以上

(引用者注:図 新製品ハイライト 省略)

(引用者注:図 IBM パーソナル・システム/55 ライン・アップ 省略)

(引用者注:図 PS/55 新製品の位置づけ 省略)

Image: DOS J4.0/V News letter

(引用者注:図 PS/55日本語マルチメディアプラットフォーム 省略)

(引用者注:図 IBM PS/55 プリンター・ラインアップ 省略)


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