[MSVC] MDI で子ウィンドウ新規作成時にテンプレート一覧を表示させない

詳細

MDI 子ウィンドウ (CFrame, CDocument, CView の組み合わせとなる CMultiDocTemplate ベースのウィンドウ) 作成時に CWinApp::OnFileNew を使いたくないこともあります。

たとえば、プログラムが複数のドキュメント テンプレートを持つ場合、CWinApp::OnFileNew 関数を呼び出すプログラムでは、ユーザーに対してドキュメント テンプレートの選択を要求するダイアログが表示されてしまいます。特定の CMultiDocTemplate を使用したい場合はダイアログを表示せずに目的の子ウィンドウを新規作成できることが望まれます。

AppWizard ベースのアプリケーションでは、MDI 子ウィンドウの作成に MFC リファレンスに記載されていない CMultiDocTemplate::OpenDocumentFile 関数を 利用することができます。

手順

1. アプリケーションの CWinApp 派生クラス (仮に CMyApp とします) に、CMultiDocTemplate オブジェクトのポインタを保存するパブリック メンバ変数を追加。

         class CMyApp : public CWinApp
         {
           ...
          public:
           CMultiDocTemplate* m_pDocTemplate1;
           ...
         }
   

   複数のドキュメント テンプレートを使用する場合、 テンプレートごとに変数を追加してください。
2. CMyApp::InitInstance 関数において、AddDocTemplate 関数の引数となる CMultiDocTemplate オブジェクトのポインタを手順 1 で用意した変数に保存。

        BOOL CMyApp::InitInstance()
        {
            ...
            m_pDocTemplate1 = new CMultiDocTemplate(IDR_MYTYPE,
                                          RUNTIME_CLASS(CMyDoc),
                                          RUNTIME_CLASS(CMDIChildWnd),
                                          RUNTIME_CLASS(CMyView));
            AddDocTemplate(m_pDocTemplate1);
            ...
          }
   

3. 保存した変数により CMultiDocTemplate::OpenDocumentFile を指定して呼び出すことで、新規ウィンドウを作成。引数には NULL を指定。以下のサンプル コードは、ビュー ウィンドウに配置したプッシュ ボタン押下により (BN_CLICKED メッセージ ハンドラ)、m_pDocTemplate に基づいたウィンドウを作成するものです。

        void CMyView::OnNewWindowButtonClicked()
        {
            CMyApp* pApp = (CMyApp*)AfxGetApp();
            pApp->m_pDocTemplate1->OpenDocumentFile(NULL);
        }
   

   SDI アプリケーションでは、ドキュメント テンプレートは 1 つだけなので子ウィンドウ作成時にテンプレートを選択するダイアログが表示されることはありませんが、CSingleDocTemplate を利用してウィンドウを作成する場合にも同じ手法が使えます。