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昭和63年4月18日
日本アイ・ビー・エム㈱

日・英、「言葉の枠」を超え、多種多彩なアプリケーションに対応
IBMパーソナルシステム/55(TM)新モデルとIBM OS/2(TM)拡張版を発表

 日本アイ・ビー・エム株式会社(椎名武雄社長)は、18日、90年代へ向けてのパーソナル・システムの活用とアプリケーション展開の基盤となるIBMパーソナルシステム/55の強力な新モデルと日本語対応のIBMオペレーティング・システム/2(TM)拡張版を核とする新しいソフトウェアを発表しました。

 IBMのパーソナル・コンピューティングは、多様なニーズに的確に応えるため、日米それぞれ独自に開発されたIBM PC(英語仕様)とマルチステーション5550(日本語仕様)を2つのルーツとしています。今日ではそれぞれがIBMパーソナルシステム/2、IBMパーソナルシステム/55として結実し、共に様々な分野で使われ、大きな成功を収めています。

 今回の発表は、現行のユーザーのソフト資源等を継承しつつ、「言葉の枠」を超えた共通したアーキテクチャーの確立を目的とした日米の開発グループの成果によるものです。
 すなわち、このIBMパーソナルシステム/55の新製品は、5550の特長を活かし、PCの性能の向上をはかったPS/2の拡張版としての新しいアーキテクチャーを基本として設計されました。

 これによって、32ビットのIBMパーソナルシステム/55は、日本語/英語両版のIBMオペレーティング・システム/2とDOS(ディスク・オペレーティング・システム)を利用できるので、IBMパーソナルシステム/55と同/2用の豊富な適用業務プログラム・パッケージが全て使えます。また、パーソナルシステム/2用に、現在、流通している様々な適用業務向けのアダプター・カードもそのまま利用することができるので、多彩なアプリケーション展開がはかれます。

図:PS/2及びIBM PS/55の環境の統一

 IBMパーソナルシステム/55の新モデルは、こうした先進的な、32ビット・マイクロ・プロセッサー、マイクロ・チャネル・アーキテクチャー、日本語対応のOS/2拡張版、さらにSAA(システム・アプリケーション体系)を基盤とすることによって、マルチステーション5550ファミリーで確立した"一台3役"の機能をさらに発展、拡張して行きます。
 たとえば、日本語版、英語版両方の豊富なアプリケーション・ソフトを利用してのパーソナル・コンピューティング、単純なワープロ作業からデスク・トップ・パブリッシングへの適応、さらに、オンライン端末として、マルチ・ウィンドーの機能の利用とSAAをベースとしたホスト・コンピューターとの対等の相互通信などがはかれます。
 これによって、全社的な統合情報ネットワークと分散ファイルを駆使した戦略的情報システムの確立、単体利用の個人を中心とした"パーソナル・ネットワーク"展開に、一貫した方向性を持って対応していけます。

 新モデルは、IBMパーソナルシステム/55モデル5550-Sおよび同-Tとモデル5570-Tの3種類で、現行の業界水準を超える強力な処理機能を次のようなハードウェア技術で実現します。

 デスク・トップ型のモデル5550への32ビット汎用マイクロ・プロセッサーの搭載、マイクロ・チャネル・アーキテクチャーの採用は、今回が初めてです。これによって、16ビットと32ビットで構成されるIBMパーソナルシステム/55の製品ラインはさらに拡充されました。

 また、この先進的、高性能なハードウェアの処理能力を十分に引き出し、ワークステーションによる新しいアプリケーション展開のベースを提供するIBM独自の強力なソフトウェアは次の通りです。

 本日発表のこれら新製品個々の主な特徴と機能は次の通りです。

モデル5570-T

 高速の32ビット、20MHz汎用マイクロ・プロセッサー(I80386)を搭載した床置き型の拡張性に秀れた最上位モデルで、マイクロ・チャネル・アーキテクチャーを採用しています。処理速度は、現行モデル(5570-S)と比較して最高約1.2倍です。メイン・メモリーは、4メガ・バイトを標準装備し、最高16メガ・バイトまで拡張できます。ハードディスクについては、70〜115メガ・バイトを標準で備え、最高230メガ・バイトまで拡張できます。また、3.5インチ・ディスケット駆動機構を1台標準装備し、オプションで5.25もしくは3.5インチのディスケット駆動機構を内蔵できます。

 オペレーティング・システムには、日本語仕様のIBM OS/2バージョンJ1.0、基本版バージョンJ1.1、今回発表の拡張版バージョン1.1および日本語DOSバージョンK3.3と、英文仕様のIBM OS/2 Standard Edition Version 1.0、IBM PC DOS 3.3が利用できます。また、これらの日・英の各種オペレーティング・システムの下で稼働する豊富な適用業務プログラムも活用できます。日本語仕様のOS/2のもとでは、IBM独自の本格的な統合ソフトウェアであるSMARTシリーズなど、多種多様な適用業務プログラムの利用ができるようになります。

モデル5550-S/T

 32ビット汎用マイクロ・プロセッサー(I80386, S:16MHz T:20MHz)を搭載し、マイクロ・チャネル・アーキテクチャーを採用した卓上型のコンパクトな価格性能比に優れたワークステーションです。処理速度は、現行モデル(5550-M/P)と比較して最大約1.8倍です。さらに、3.5インチ・ディスケット駆動機構と2メガ・バイトのメイン・メモリーを標準装備しており、メイン・メモリーは、最高16メガ・バイトまで拡張できます。また、30〜120メガ・バイトのハード・ディスクを内蔵しています。現行のM/Pと比べて、ハード・ディスクの容量は最高6倍になっています。

 5570-Tと同様に日本語や英語のオペレーティング・システムが利用できるので、IBMパーソナルシステム用の豊富なビジネス・アプリケーションを最大限に活用することができます。

IBMオペレーティング・システム/2拡張版バージョンJ1.1

 IBMが独自に開発したコミュニケーション・マネージャー、データ・ベース・マネージャーの機能を提供し、ネットワークの効率的利用、リレーショナル・データ・ベースの利用などを可能にします。本年3月に出荷を開始したIBM OS/2バージョンJ1.0が持つマルチ・タスク機能、最大16メガ・バイト・メモリーのアクセス機能、また、本年2月に発表したIBM OS/2基本版バージョンJ1.1が持つ、ウィンド機能やグラフィック機能を実現するプレゼンテーション・マネージャーの機能も備えています。
 さらに、OS/2は、SAAに準拠した製品であり、IBM OS/2拡張版バージョンJ1.1は、「共通ユーザー・アクセス」、「共通コミュニケーション・インターフェース」、「共通プログラミング・サポート」といったインターフェースを提供します。

IBMオペレーティング・システム/2 LANサーバー バージョンJ1.0

 IBM OS/2 LANサーバー・プログラムは、IBM OS/2拡張版の下で、IBMトークン・リング・ネットワークのサーバー機能を提供し、データ・ファイルや印刷装置などをIBMパーソナルシステム/55間で共有できるようにするので、適用業務とネットワークの展開面で大きな柔軟性をもたらすとともに、ユーザー資源の有効活用を実現します。

 なお、日本アイ・ビー・エムでは、SAA準拠のソフトウェア開発のためのOS/2拡張版のテクニカル・リファレンス・マニュアル、アダプター・カードの開発のために、技術解説書を用意、発行する予定です。これらを参照することによって、ユーザーは、簡単に独自のソフトウェア、ハードウェアの機能強化をはかることができます。

 その他、同時に発表した主な周辺装置の特徴・機能は、次の通りです。

5574-C06/M06/W06表示装置

 モデル5550-S/T、5570-T専用の14インチ高解像度カラー表示装置(5574-C06)と15インチ高解像度モノクローム表示装置(5574-M06:イエローグリーン,5574-W06:ホワイト)で、ともにグラフィック・モードでは、1024×768ドットの表示解像度を備えています。5550-S/T、5570-Tシステム装置に標準装備されている「ディスプレー・アダプターII」に接続することによって、カラーの場合は262,144色中、256色を同時に表示でき、モノクロームでは、64階調の微細な表示ができます。

5576-003型鍵盤

 今回の新モデルを含め、32ビット・システム専用の鍵盤です。数字キーを省略したコンパクトな設計になっています。現行の002型と同様、SAA準拠の鍵盤です。

 さらに、現行のIBMパーソナルシステム/55の各モデル別に接続していた5577, 5575印刷装置は、今回発表の新モデルで、IBMパーソナルシステム/55の全てのモデルに接続できるようになりました。

 なお、日本アイ・ビー・エムでは、ワークステーション製品の修理・交換等のため、「IBMクーリエ・サービス」を開始します。この保守サービスでは、当社のサービス・センターがお客様からの電話を受けると、当社で宅配便の手配をするので、お客様の手間は大幅に省けます。
 対象となるのは、今回発表の製品はもとより、現行のIBMパーソナルシステム/55、IBMパーソナルシステム/2、IBM PCなどをはじめとするワークステーション関連製品です。ただし、既発表の製品についてのサービスは、7月1日から開始します。
 このサービスは、1年間の保証期間中はもちろんのこと、その後もIBM集配によるサービス・センターでの修理・取替えサービス契約を結ぶことによって無償で利用できます。パー・コールの場合には、別途有償で、来年1月から利用できます。

開発・製造・価格等

 今回発表の製品は、当社の大和研究所を中心に、米国の研究所の協力も得て開発し、藤沢工場で製造、日本アイ・ビー・エムおよびIBM特約店で販売します。

 IBMパーソナルシステム/55新モデルの価格と出荷予定時期は以下の通りです。

製品名 価格(円) 出荷予定時期
モデル5550S/T(システム装置) 820,000から 1988年5月12日
モデル5570-T(同) 1,450,000から 1988年5月12日
5574表示装置 128,000から 1988年5月12日
5576-003型鍵盤 30,000 1988年6月15日
IBM オペレーティング・システム/2
拡張版バージョンJ1.1
120,000 1988年9月30日までに発表予定
IBM オペレーティング・システム/2
LANサーバー バージョンJ1.0
170,000 1988年9月30日までに発表予定
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