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昭和59年10月29日
日本アイ・ビー・エム㈱

プライベート16ビット新時代
「IBMパーソナルコンピューターJX」発表

 日本アイ・ビー・エム株式会社(椎名武雄社長)は、29日、家庭や学校、オフィスなど、様々な場所でプライベートな情報の管理や処理を手軽に効率良く行えるように設計・開発された高性能、低価格なIBMパーソナル・コンピューターJXを発表しました。

 日本アイ・ビー・エムでは、すでにOAの中核機種として実績をあげている一台3役のIBMマルチステーション5550を、ビジネスの場をはじめとして幅広くご利用いただいております。今回の新製品JXは、さらに学校や家庭なども含めたより広い場で、ひとりひとりが目的に合わせて使える『プライベート16ビット パーソナルコンピューター』として多角的に活用できます。

 たとえば、JXは個人経営の会社や商店での会計処理、経理事務所での文書作成、病院での患者管理などの実務や個人の仕事に幅広く活用できます。また、学校では、ひとりひとりの進捗度に合わせて、生徒がJXと対話しながら各種教科の学習を進めることもできます。さらに、家庭では、ビジネスマンが日常の業務に使う各種の補助資料やレポートの作成を行ったり、子供たちの"家庭教師"として、また主婦の家計簿代わりとして多角的に活用することができます。もちろん、ゲーム・プログラムも豊富に揃っているので、これらの合間に、生活を豊かにする知的ホビーとしても老若男女を問わず楽しめます。

 JXは、こうした"よりプライベートな次元"でのコンピューター利用という新しい時代に本格的に応えられるように日本アイ・ビー・エムによって設計・開発されたもので、主な特徴は以下の通りです。

日本語処理機能を標準装備した16ビット

 システムの中核である処理装置に「16ビット・マイクロプロセッサー」を採用しています。これにより、現在、パソコンの主流である8ビット機にくらべて処理速度の高速化はもちろん、最大512Kバイトまでメモリーを拡張でき、かつそのメモリーの効率的な活用もできるなどシステム全体の処理能力が大幅に向上します。さらに、プログラム開発も容易になり、ビジネス用から高度なゲームまで個人の様々な目的にかなった多彩なアプリケーション・ソフトウェアの作成ができます。

 また、高性能な日本語処理を前提として設計され、かな漢字変換・漢字辞書などの基本的な日本語処理機能はハードウェアであるROM(リード・オンリー・メモリー)として内蔵し、処理の高速化と使いやすさを実現しています。

720Kバイトの記憶容量を持つディスケット

 システム本体には、両面倍密度倍トラックという記録方式を採用した720Kバイトの記憶容量を持つ「3.5インチ・ディスケット」を2基まで搭載できます。
 また、拡張ユニットと呼ばれる装置を利用することにより、3.5インチ・ディスケットまたは5.25インチ・ディスケットのどちらかをもう一台接続することができ、合計最大2Mバイトを超える大容量を記憶できます。
 これにより、ビジネス用からゲーム用までの幅広いソフトウェアが使えるだけでなく、本格的なパーソナル・データベース構築に大きな役割を果たすことができます。
 なお、5.25インチ・ディスケットはIBMマルチステーション5550とデータ・レベルでの互換性を持っており、5550で作成したデータをJXで活用することができます。

多彩なアプリケーションに対応できる3つのモード

 JXには、「基本モード」、「拡張表示モード」、「英文モード」の3つの実行モードが用意され、アプリケーションの内容に応じて使い分けて、多彩な仕事に対応することができます。
 基本モード―表示文字数で最大40字×11行(漢字)、グラフィック表示で最大600×200ドットの解像度を備え、ディスプレイはもちろん、家庭用テレビに接続して利用できます。
 拡張表示モード―表示文字数で最大40字×25行(漢字)、グラフィック表示で最大720×512ドットの高解像度な画面を表示することができ、5550と同様の操作環境が得られ、本格的なビジネス用として幅広いアプリケーションに対応することができます。
 英文モード―米国IBM等で販売されているPCファミリーで利用されている数多くのソフトウェアを使うことができます。

 利用者は、手軽なハードウェアである差し込み式の「ROMカートリッジ」を取り替えることによって、これらのモードを簡単に切り換えることができ、ディスプレイなどを取り替えることなく、1台のJXが3通りのシステムとして活用できます。

 JXのハードウェアは、システム・ユニットとワイヤレス方式のキーボード、高解像度の表示ができるディスプレイ、鮮明な印刷が得られるプリンターなどをそれぞれ数種類備え、様々に組み合わせることにより拡張性に富んだシステムを構成することができます。
 各装置はいずれもホワイトとグレーの2種類のカラーを選択でき、デザインの美しさとともに、使う人の立場に立った使いやすさ、見やすさなど人間工学的な配慮が随所になされています。

豊富なソフトウェア

 基本ソフトウェアとして、16ビット機の機能を活かした、使いやすく豊富な機能を持つJX専用の「日本語DOS」、「PC DOS 2.10JX版」が利用できます。これらの機能を活かして幅広いアプリケーション・ソフトウェアが数多く提供されます。たとえば、ワード・プロセッサー、データ・ベースなどに欠かせない実践的なソフトウェア、会計業務や販売管理など実務に直ちに活用できるソフトウェア、さらに余暇を楽しむために絶好のゲーム・プログラムなどがあります。本日発売時点でJXには、ソフトハウス提供のものも含め人気の高いソフトウェアが100本以上用意され、直ちにこれらを活用して、JXの世界を堪能することができます。
 さらに、FORTRAN、Pascalの高水準言語もサポートされ、利用者が自分で様々なプログラムを作成することができます。なお、日本語も使えるBASIC言語はハードウェアに組み込まれており、簡単に利用できます。

 JXは、エントリー・モデルであるJX1から最上位のJX4まで4つの標準モデルを用意しています。これらのモデルは、それぞれ利用者がオプション部品を買い足すことによって上位モデルに無駄なく移行することができます。

 JXの標準モデルの販売価格は、
JX1(システム・ユニット=64Kバイト・メモリー、32Kバイト・ビデオRAM、コンパクト・キーボード)が16万6千円、
JX4(システム・ユニット=256Kバイト・メモリー、364Kバイト・ビデオRAM、ディスケット・ドライブ2基、フル・キーボード)が37万3千円です。

 JXは本日より日本アイ・ビー・エムの特約店を通じて販売を開始します。また、全国のIBM OAセンター(6か所)でも販売されます。なお、お客様への製品の引渡し開始(出荷)は 本年11月15日 を予定しております。

 JXには、1年間の保証/保守サービスがつきます。期間中と期間経過後の保守サービスは特約店において行われます。

図 JXシステム構成概念図

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