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昭和57年9月10日
日本アイ・ビー・エム株式会社

308Xファミリーの最上位機種を発表


 日本アイ・ビー・エム株式会社(椎名武雄社長)は、10日、IBMの最上位のコンピューターとして、大規模なデータ処理業務に新しい価格性能水準で対応できるIBM3084プロセッサーを新たに発表しました。
 この新機種3084プロセッサーは、4つの中央処理機構、最大64メガバイト(メガは百万を示す単位)の中央記憶機構、48本のチャネル(本体と様々な入出力装置を結ぶデータ経路)を備えています。この新プロセッサーは、IBM3081-K型プロセッサー(これまでのIBMの最上位機種)のユーザーがより多くの能力と容量を必要とする場合に、3081-K型の機能を設置場所で拡張して導入するものです。
 3084プロセッサーの内部命令実行速度は、バッチ処理環境での商業計算、科学技術計算では、3081-K型の最高1.9倍です。
 日本アイ・ビー・エムは、この新機種と同時に3081プロセッサーの新モデルとしてG型を発表しました。3081-G型プロセッサーは、最大で32メガバイトの中央記憶機構、24本のチャネルを備えています。G型はD型(昭和55年11月発表)と比べて同等もしくはそれ以上の処理能力ですが、価格は同じです。
 これらの新しいコンピューターの発表によって、IBMの最も進んだテクノロジーを基盤とした308Xファミリーは、一つのシリーズとして最も広範な処理能力と容量を持つものとなりました。たとえば、3083-E型プロセッサーのユーザーは、処理能力をその6倍にあたるシリーズ最上位の3084プロセッサーにまで設置場所で拡張してゆくことができます。同様に中央記憶機構の容量は、8から64メガバイトまで、チャネルは8から48本まで拡張できます。
 3084プロセッサーは、IBMの最も進んだシステム制御プログラムであるMVS/XA(多重仮想記憶システム/拡張アーキテクチャー)の下で、4つの中央処理機構をシングル・システムとして働かせることのできる双頭多重プロセッサーです。
 また、同プロセッサーは"分割"して2台の独立した双頭プロセッサーとして、MVS/XAやその他のIBMの大型システム用オペレーティング・システムの下で働かすこともできると言った柔軟性も備えています。この場合の3084の処理能力は、2台の3081-K型の処理能力とほぼ同じです。
 IBM3084プロセッサーは昭和58年第4四半期から利用可能となる予定で、3081-G型プロセッサーは本年11月から出荷開始の予定です。
 IBM3084プロセッサーは、3081-K型プロセッサーからの拡張によってのみ導入可能で、64メガバイトの中央記憶機構と48本のチャネルを持つ3084プロセッサーの価格は、3081-K型プロセッサーを含めて約21億6,000万円です。これには、32メガバイト、24チャネルの3081-K型プロセッサーとそのプロセッサー制御装置、それにプロセッサーとプロセッサー制御装置それぞれの拡張機構、冷却水配分装置の販売価格が含まれます。
 同様な構成での2年リース契約に基づく月間使用料金は約7,840万円、レンタル契約の月間使用料金は約9,210万円です。
 一方、32メガバイトの中央処理機構、24本のチャネル、プロセッサー制御装置と冷却水配分装置を含んだ3081-G型プロセッサーの販売価格は約10億円で、2年リース契約での月間使用料金は約3,770万円、レンタル契約では月間約3,960万円です。
 3084, 3081-G型プロセッサーは、米国IBMポーケプシー研究所で開発され、日本アイ・ビー・エム野洲工場(滋賀県)で製造されます。

補足資料

新しい308Xファミリー

3084概要

 IBM3084プロセッサーは、IBMの最上位のプロセッサーで、32, 48, 64メガバイトの中央記憶機構と48本のチャネルを備えています。同プロセッサーは、より優れた価格/性能比を提供し、308Xファミリーの拡張性をさらに拡げるとともに、1台の双頭多重プロセッサー構成あるいは2台の独立した双頭プロセッサー構成で稼働させることができるといった柔軟性を備えています。
 3084プロセッサーは、1台の双頭多重プロセッサーとしてMVS/XAの下で働きます。この作動モードでは、3084の4つの中央処理機構は、周辺機器の活用やデータ処理資源のスケジューリングを効率よく図りながら、"シングル・システム"として働きます。
 バッチ形態の商業計算あるいは科学技術計算環境では、3084の命令実行速度は、3081-K型と比べて、最高1.9倍となることが測定されました。
 3084は2台の独立したシステムとして稼働させることもできるといった柔軟性を持っています。これによってユーザーは、処理能力をより経済的に増強することができるので、一方のシステムで通常の業務の処理を進めながらもう一方のシステムを保守したり、MVS/XAなどの新しいプログラミングの導入、テストに当てることもできます。
 このように3084を2台の双頭プロセッサーとして働かせている場合の処理能力は2台の3081-K型とほぼ同じです。
 拡張された3082-Q型プロセッサー制御装置には多重処理の制御に必要な回路が追加されています。また、主要なハードウェアは二重化されています。1台の双頭多重プロセッサーとして稼働させるとき、3082-Q型はその方側の半分が3084の管理にあたり、もう一方はバックアップをしています。2台の双頭プロセッサーとして稼働させる場合、3082-Q型の2つの制御装置は2つの双頭プロセッサーの稼働をそれぞれ個々に管理します。
 分割して稼働させる場合のために、3084の主要なハードウェアは二重化されています。すなわち、3084は2台の3087冷却水配分装置、ハードウェア制御用の2台の3278-2A型操作卓、2台の電源装置、それにシステム制御プログラムと操作員の対話のための操作卓として4台の表示装置が必要です。

3081-G型、設置場所での拡張機能

 IBMは、3083-J型と3081-K型の中間の処理能力を必要とするユーザー向けに3081-G型プロセッサーも発表しました。
 3081-G型は、3081-D型、同-K型と同様、双頭プロセッサーです。中央記憶機構の容量は16, 24, 32メガバイトで、16ないし24本のチャネルを備えることができます。このG型の内部命令実行速度はD型と同等もしくはそれ以上ですが、価格は同じです。
 本日発表のIBMの最も進んだテクノロジーを搭載したプロセッサーは、拡大していくデータ処理需要に対して、308Xシステムをその設置場所で拡張していく上での新しい機会を提供するものです。
 このプロセッサー・ファミリーの中では、3083-E型が最も小さなものです。同-E型プロセッサーは、客先の設置場所で同-B型に拡張し、さらに同-J型へと拡張することもできます。3083-B型は今回発表の3081-G型へ拡張できますし、3083-J型は3081-K型へ拡張することができます。
 3081の中のモデルでは、D型もG型もさらに強力なK型へ拡張できます。K型は設置場所で最上位の3084へと拡張できます。

プログラミング・サポート

 IBMのMVS/XA(多重仮想記憶システム/拡張アーキテクチャー)は、3084が1台の双頭多重プロセッサーとして稼働するのをサポートします。
 3084を2台の双頭プロセッサーとして稼働させる時には、MVS/XAに加えて、MVS/SP(システム・プロダクト)第1版のリリース1.1以上、VM/SP HPO(仮想計算機機能/システム・プロダクト 高性能オプション)がサポートします。MVS/XAの導入を助けるために、3084でVM/拡張アーキテクチャー移行エイドが利用できます。
 3081-K型でサポートされているすべての主要なソフトウェア・サブシステム、たとえばTSO(タイム・シェアリング・オプション)、IMS(情報管理システム)、CICS(顧客情報管理システム)などは3084でもサポートされます。
 3084は1台のプロセッサーであり、3084を1台の双頭多重プロセッサーとして稼働させても、2台の双頭プロセッサーとして稼働させても、ライセンス・プログラムの料金は1台分で済みます。これによって、運用コストが削減できます。
 3081-G型はMVS/XAのほか、IBMの大型システム用のシステム制御プログラムでサポートされます。

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