本ページは公開が終了した情報の複製であり、掲載時点での情報です。本ページに記載されている内容について各所に問い合わせることはご遠慮下さい。

昭和55年11月21日

IBM3081プロセッサーの受注活動を開始

 日本アイ・ビー・エム株式会社(椎名武雄社長)は、21日、同社の最大機種として、新製品、IBM3081プロセッサーを同日から発売すると発表しました。
 IBM3081プロセッサーは、約4立方フィート(約0.113立方メートル)に75万以上の論理回路を収納するという、IBMの論理回路パッケージングとしては最高密度のものを採用しています。同機種の内部性能は、現行の3033プロセッサーと比較して最高約2倍で、設置面積、発熱量、消費電力でも著しい改善が施されています。
 これによって、IBMの大型システムは一段と拡充されたことになり、ユーザーは80年代の適用業務の発展・拡大に互換性を持って柔軟に対応できるようになります。
 また、日本アイ・ビー・エムは、同日、3033-N型プロセッサーの性能の改善と、チャネルの拡張、さらに、IBMの最も進んだ制御プログラミングであるMVS/SP(多重仮想記憶システム/システム・プロダクト)の機能強化もあわせて発表しました。

性能強化された新型のプロセッサー

 IBM3081プロセッサーは、26ナノ秒(ナノは10億分の1を表す単位)のマシン・サイクル・タイムを持ち、内部処理性能は3033プロセッサーの最高約2倍、3033付加プロセッサーと比較して15パーセント向上しています。
 3081プロセッサーは、独特の設計に基づく双頭プロセッサー方式と新しいロジック・モジュールを採用しています。このロジック・モジュールは1つで約45,000回路を収容しており、この回路数は、システム/370モデル148の1台分の論理回路数にほぼ匹敵します。3081プロセッサーは外部の入出力装置とのデータの経路となるチャネルを16本または24本持ち、中央記憶機構(従来の主記憶機構)の最大容量は32メガ・バイト(メガは100万を表す単位)です。
 IBM3033-N型プロセッサーの機能強化の1つは、命令実行速度を5〜14%改善するというもので、現行のユーザーは無料で技術変更を受けることができます。また、同プロセッサーのチャネルは、従来の最大で12本から16本へ拡張されます。

プログラミング・サポートとその機能強化

 MVS/SP(多重仮想記憶システム/システム・プロダクト)には、これまでリリース1, 2の2種類が発表されていますが、今回はリリース1の機能強化と新しいリリース3が発表されました。MVS/SPリリース1の機能強化は、新製品IBM3081プロセッサーのサポートを行うというものであり、新しいリリース3は、本年6月に発表したリリース2の下で利用できる総ての機能を含み、かつシステム効率およびシステム信頼性をさらに向上させるものです。

ソフトウェア・サービスの拡張、ライセンス契約の選択

 日本アイ・ビー・エムは、これらの新製品の発表と同時に、ソフトウェア保守のための既設の部門であるIBMサポート・センターで、MVSおよびそれに関連のあるライセンス・プログラムに対するサービスの提供を開始することを発表しました。
 さらに、「分散システム・ライセンス」方式が、MVSに関連した数十のライセンス・プログラムにも拡張されることになり、これらのライセンス・プログラムを複数の機械で使用する場合、この方式を選択すればプログラム利用料金を軽減することができるようになることも発表しました。

初出荷、価格等

 16メガ・バイトの中央記憶機構を持つIBM3081プロセッサーの客先への初出荷は昭和56年の第4四半期から開始される予定です。24メガ・バイトと32メガ・バイトの中央記憶機構を持つ3081プロセッサーの客先への初出荷は昭和57年第2四半期から開始される予定です。
 3033-N型プロセッサーの性能を向上させる技術上の変更は、新たに導入するものは1980年12月から、また、既に設置済みのものに対しては1981年1月から行われます。
 MVS/SPリリース1の機能拡張は、昭和56年第2四半期から使用可能の予定です。
 MVS/SPリリース3は、昭和56年第4四半期から使用可能になる予定です。
 「分散システム・ライセンス」方式は、昭和57年第2四半期から選択できるようになります。
 IBM3081プロセッサーの価格は、処理装置、プロセッサー制御装置、電源装置、冷却水配分装置、操作卓と16本のチャネル、16メガ・バイトの中央記憶機構を付けたモデルで販売価格で約8億9,600万円、48か月のリース契約で月額約2,250万円、標準レンタルで月額約2,810万円です。同じく、24本のチャネル、32メガ・バイトの中央記憶機構を備えたものは、販売価格で約10億1,700万円、48か月のリース契約では約2,580万円、標準レンタルでは約3,220万円です。
 IBM3033-N型プロセッサーの性能改善のための技術変更は、無料で行われます。
 MVS/SPリリース1の月額使用料金・基本ライセンスと月額プログラム・プロダクト料金の合計は、43万8,000円で、同リリース3では、MVS/SP-JES2リリース3が47万円、MVS/SP-JES3リリース3が57万4,000円となります。
 また、複数機械を使用するユーザーの場合、「分散システム・ライセンス」方式を選択すれば、利用料金は2台目の機械の同一ライセンス・プログラムから月額で約25パーセントの費用の削減をはかることができます。

 IBM3081プロセッサーは、米国IBMのデータ・システムズ部門(ニューヨーク州ポーケプシー)で開発され、日本アイ・ビー・エム野洲工場で製造されます。

処理速度の向上と性能アップをもたらすIBMの大型システム

 本日、日本アイ・ビー・エムが発表した新しいプロセッサーと3033-N型プロセッサーの性能強化は、大型システムのユーザーに一段と柔軟性をもたらすとともに、システムの拡充への道を開くものです。
 本日の発表の要点は次の通りです。

新型プロセッサー

 新しいIBM3081プロセッサーは、16、24または32メガ・バイトの中央記憶機構(従来の主記憶機構)があり、16または24本のチャネルを内蔵しています。3033プロセッサーと比較して、設置面積、発熱量、消費電力はそれぞれ約20、70、66パーセント削減されています。IBM3081は、2個の中央処理機構を内蔵している新しい"双頭プロセッサー(ダイアディク・プロセッサー)"方式を採用しています。2個の中央処理機構は、それぞれ独自にチャネルが割り当てられますが、中央記憶機構を共有し、また1つの制御プログラムの下で稼働されます。IBM3081では、総てのブロック多重チャネルが最高3メガ・バイト/秒のデータ転送率を持ち、24チャネル全体では最大72メガ・バイト/秒のデータ転送が可能です。

プログラミング・サポートとその機能強化

 IBM3081プロセッサーをサポートするために、仮想計算機/システム・プロダクト(VM/SP)リリース1の機能を拡張しました。また、MVS/SPリリース1の機能拡張を発表し、IBM3081のサポートが可能になりました。既発表のMVS/SPリリース2の総ての機能を提供し、かつ3033EF(3033拡張機構)付きの場合、IBM3033の性能を6から12パーセント向上させる新しいMVS/SPリリース3も発表しました。MVS/SPリリース3は、またIBM3033MP(多重プロセッサー)と3081プロセッサーで使える最大32メガ・バイトのアドレス可能な主記憶機構サポートを行います。
 また、リリース3では3033プロセッサーに対して、システム信頼性を向上させる診断と誤り検出の能力を向上させました。
 さらに、既に発表されている大域資源逐次化機能の信頼性、使用可能度、保守容易度の向上をもたらすシステム再構成の自動化および回復機能の拡張を行いました。

ソフトウェア・サービス、ライセンス契約の選択

 昭和56年度から、IBMサポート・センターは、MVSとその関連のライセンス・プログラムのユーザーに対して、ソフトウェア・サポートを行います。同センターは、電話により、予防と修正のソフトウェア・サービスを無料で、24時間年中無休で行います。
 日本アイ・ビー・エムは、また「分散システム・ライセンス」方式(DSLO)がMVSに関連した数十のライセンス・プログラムのために拡張されると発表しました。初めIBM8100情報システムのユーザーが使用可能であったDSLOは、その後、IBMサポート・センターによってサービスされるいくつかのライセンス・プログラムのユーザーにも拡張されました。
 DSLOは、複数の機械を設置し、中央の1か所で全システムのプログラム開発やシステム管理を行っているようなユーザーにとっては、プログラム使用料をかなり軽減することができます。

IBMの最も高密度のパッケージング

IBM3081プロセッサーに使われている新しいシステム・デザインと論理回路モジュール

 新しいプロセッサーの設計とIBMではこれまでで最も高密度な論理回路のパッケージングにより、IBM3081プロセッサーの高性能、利用可能度の改善、小型化が実現されました。
 IBM3081プロセッサーの演算処理機能は、75万を超える論理回路により提供されますが、これらの論理回路は4つの小型のボードに収容されています。1つのボードの大きさは縦、横それぞれ約60センチ・メートルで、厚さが約7.6センチ・メートルです。
 IBM3081の内部には、2つの中央処理機構(双頭プロセッサー)が収められており、1つのシステム制御プログラムの下で26ナノ秒のマシン・サイクル・タイムで作動します。こうした高性能に加えて、この双頭プロセッサー方式によって、どちらかの中央処理機構が万一障害などで停止した場合でも、他方の処理機構で稼働させることができるので、利用可能度が改善されます。

新しい論理回路パッケージング

 IBM3081プロセッサーは、1〜2ナノ秒で動作する高密度のバイポーラ型論理回路を使用しています。マスタースライス(あるいはゲート・アレイ)方式で作られるシリコン・チップはチップ表面で3層配線をするために、電子ビームを利用したIBM独特の装置を使って配線されます。この論理回路用のチップには、1つ辺り最高で704の回路が収められています。
 論理回路チップは、IBMで新たに設計した約13×13×5立方センチ・メートルのモジュールに最高118個まで固定されます。金属ピストンが各々のチップに軽く接触しており、水で冷却する金属の冷却板へ熱を伝導することによって、チップの放熱を助けます。
 モジュールの内部では、1個のセラミック基板(キャリアー)の上に約120メートルの配線が施されており、信号を通したり、電力を供給するために使われています。
 これら複数のモジュールは、IBMで開発された新しい方式の多層回路ボードに搭載されています。これまでは、信号を通したり電力を供給するために数多くのプリント基板や配線用のケーブルを必要としたのですが、この新しいボードではそれらが1つに集約されています。また、迅速な保守サービスができるように、モジュールはこのボードから簡単に取り外し、取り付けができます。

製品開発研究所

 IBM3081プロセッサーで使われている論理回路チップは米国ニューヨーク州のイースト・フィッシュキルの研究所とフランスIBMのエソンヌ研究所で開発されました。
 新しい回路モジュールは、このイースト・フィッシュキル研究所とポーケプシー研究所(米国ニューヨーク州)が共同で開発しました。
 これらの回路モジュールを取り付ける高性能な回路ボードは、米国ニューヨーク州のエンディコット研究所で開発されました。

IBM3081プロセッサーの新しいパッケージング技術


写真

inserted by FC2 system