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システム/38は最新の半導体テクノロジーを使用

 IBMシステム/38は最高密度(当社比)のメモリー・テクノロジーを採用している。
 さらに、これまでのシステム/3では最高25回路/チップの論理回路を使用していたのに対し、新システムでは最高704回路の新論理チップを採用している。

  半導体の進歩がシステム/38の高性能、高信頼性および小型化を実現するのに不可欠であった。

IBMにおける最高密度のメモリー・テクノロジー

 従来の8Kビットのランダム・アクセス・メモリー(RAM)モジュールにかわって、システム/38では64Kビット・チップ4個を使った最高256KビットRAMモジュールを採用している。これはIBM製品のなかでは最高密度のものである。このほか、このシステムでは36Kビット・モジュールおよび128Kビット・モジュールが使われており、それぞれ新18Kビット・チップおよび32Kビット・チップを利用している。

 チップおよびモジュールの密度を高くしたので、256Kバイトのメモリーが、4.5インチ×7インチのカード上に実装できることになった。これはシステム/3の同容量のメモリーの8倍の実装密度にあたる。

 これらのチップは全て、より高密度なテクノロジーを利用しているが、これはIBMが開発したダイナミック・ワンデバイス・セル・アレイと新電界効果トランジスター(FET)・テクノロジーおよび米国バーモンド州バーリントン近郊にあるIBM施設での新しい製造プロセスによる所産である。

 18Kビット・チップも同じく新FETテクノロジーを使用している。これはドイツIBMのボーブリンゲン研究所で開発され、ドイツIBMジンデルフィンゲン工場で製造されている。

 新テクノロジーは従来のFETプロセスとは著しく異なっている。これによって金属ゲート(スイッチ)を使ったNチャンネルFET設計が実現できたか、新テクノロジーの要点はゲートの信頼性を高めるためのシリコン窒化物使用および表面上での電子の漏れを制御するためのコンダクティブ・フィールド・シールドの採用にある。

高度な論理テクノロジー

 IBMの最新のLSIテクノロジーによるバイポーラ・サーキットの設計。製造の所産として4.6ミリ・メータ角に最高704のトランジスター ― トランジスター・ロジック回路を持つ論理チップが生まれた。

 この新テクノロジーにより、IBMシステム/38の中央演算処理部分は10×15インチのプレナー・ボードに実装された

 IBMシステム/3の場合、チップ当たり最高25回路、処理速度8〜12ナノ秒であるのに比較すると新しいチップは約28倍高密度で回路当たりの設計処理速度は3〜5ナノ秒である。
 ニューヨーク州・イースト・フィッシュキル研究所で開発、同工場で生産されているこのテクノロジーにより、半導体チップ上に高速回路を高密度パターンで作製することや、システム・デザイナーがチップ上で相互接続を行うのに大きな隔通性が得られることとなった。
 設計のフレキシビリティーは、コンピューターを使った技術設計システムとエレクトロン・ビーム直接露光プロセスの選択的利用により達成された。

設計プロセス

 設計プロセスは704のロジック・セルを持つスタンダード・チップを作るところから始まる。これは回路間接続の前の部品集団である。
 次に、デザイン・システムを使用して、デザイナーがチップ上に回路間接続を指定することができる。このようにしてチップを特定のシステムの必要性に合致するようにパーソナライジングする。

 これによって作られる設計データは、コンピューター制御のエレクトロン・ビーム装置または、光学的マスク作製装置への入力データとして使用される。IBMが開発したこのエレクトロン・ビーム装置がそれぞれ個有の回路間接続パターンをチップ上に書いたり、複写したりする。
 エレクトロン・ビーム装置は通常の光学的マスクによる方法と互換性はあるが、フレキシビリティ、迅速なターン・アラウンド、迅速な設計検証の能力でよりすぐれている。

価格・製造工場等

 IBMシステム/38の客先への納入は、1979年第4四半期から始まる予定である。このIBMシステム/38は、米国IBMのロチェスター工場(ミネソタ州)で製造される。
 IBMシステム/38は買い取り、36か月契約のリースまたはレンタルのいずれでも利用できる。トータル・システムの価格はその構成、要素により変わる。
 IBMシステム/38の構成別価格(概算)は次の通り。

主記憶容量 512Kバイト 1,024Kバイト 1,280Kバイト
補助記憶機構 130メガバイト 260メガバイト 390メガバイト
システム印刷装置 650行/分×1台 650行/分×1台 650行/分×2台
ワーク・ステーション
表示装置
4台 10台 20台
ワーク・ステーション
印刷装置
6台 12台
入出力装置 ディスケット・
マガジン(23枚)
同左 同左
ソフトウェア CPF、RPGⅢ、ユーティリティ 同左 同左
36か月リース
(月額料金)
約80万円 約150万円 約263万円
買い取り価格 約2,623万円 約4,160万円 約9,180万円
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