パーソナル・エディター K1.1

パーソナル・エディター K1.1 [5605-JDD]
種類 テキストエディター
必要環境 IBM PS/55シリーズ、日本語DOS K3.2以降
価格 25,000円(1985年)
JAN 不明
発売年 1984年 (バージョン K1.0?)
メーカー 日本アイ・ビー・エム株式会社 / International Business Machines Corporation
内容物
  • ディスケット 3.5インチ 2DD 1枚
  • パーソナル・エディター ユーザーズ・ガイド
  • パーソナル・エディター ユーザーズ・ガイド Technical Newsletter
  • パーソナル・エディター バージョン K1.13 をお使いになる前に
  • プログラムのご使用条件
  • ユーザー登録カード
写真 Image: パーソナル・エディター K1.13 スクリーンショット

1982年に米国IBMから5150 Personal Computer用に発売されたPersonal Editor (PE)。これを日本市場で展開していたマルチステーション5550(後にパーソナルシステム/55)用に移植したものである。米国IBMからは他にもProfessional EditorやPersonal Editor II、また3270端末用のPEも発売されているが、日本でも発売されたかどうかは不明。1989年10月に5499オンライン・ノート用の「パーソナル・エディター バージョンO 1.0」が発表されている。マルチステーション5550用は1984年3月21日に発表され、1985年9月のIBM 5560発表時点でラインナップに存在することを確認している。2020年現在、日本IBMのWebサイトでパーソナル・エディターの存在が確認できるのは、2003年8月31日付けで出荷停止とするニュースレターが唯一のページとなっている。

ファイルのオープン、テキストのコピー・ペーストといった各操作はショートカットキーかコマンド入力で行う、Emacs風のプログラマー向けスクリーンエディターとなっている。最大20個までのファイルを同時に開いて編集できる。ウィンドウは2分割にできるが、各ウィンドウの下3行が常に占有されているので狭苦しい。

IBM PC DOSもMS-DOSも、もともとテキストエディターとしてはEDLINというとっくに時代遅れのラインエディターしか付属しなかった。スクリーンエディターは英語版では1991年発売のDOS 5.0でQBASICのエディターモードとして、日本語版では1993年発売のPC DOS J6.1/VでEエディターとして初めて付属した。ただ、NECがPC-98用に発売したMS-DOS 5.0ではSEDITというスクリーンエディターが付属した。日本IBMがDOS J5.0/Vを発売してDOS/Vを普及させようと目論んでいた頃である。さすがに日本語に対応するエディターがEDLINしか無いのは申し訳ないと思ったのか、翌1992年3月発売のDOS J5.02/Vには保存機能しかない簡素なスクリーンエディター「TE(簡易エディター)」がサポート対象外の扱いで付属した。画面構成やキー割り当てはPEと似ているが、機能がかなり制限されており、PEの兄弟や親子とは言い難い。DOS J5.0/VのマニュアルにはTEについての記述は無く、日本語対応のエディターが必要ならPEなどの市販のエディターを購入するよう、説明されている。

Image: TE スクリーンショット

PEの最終バージョンがいくつか今となっては確かめる術はないが、手元のディスクはバージョンK1.13とあり、ディスク収録のPE.EXEのタイムスタンプは1994-02-28となっている。以下はREADME.PEに記述されているバージョン履歴。

手元にはバージョンK1.1のPEもあり、PE.EXEのタイムスタンプは1988-10-23となっている。こちらはPS/55ディスプレイ・アダプターにしかない画面モードを使用するため、DOS/V上で実行しても画面が暗転するだけである。

マルチステーション5550時代からDOS/V時代のV-Text登場まで、これだけ長期間に渡ってIBMブランドで開発・販売されていたにもかかわらず、知名度は低い。理由はいくつか思い付く。まず、サポートする機種がIBMのハードのみであることを念頭に置いて、DOS/Vが登場するまでは日本IBMのパソコンは専ら企業向けの高価な「ワークステーション」であり、PEがそのIBMユーザーの間でしか知られていなかったこと。PE自体も万人向けでなかったこと。文書作成(ワープロ)用途としては日本IBMに「文書プログラム」という別のソフトが存在したこと。そして、DOS/Vが登場して間もなくVZ Editor Ver.1.5やMIFES Ver.5.0などのより高機能で使い易いソフトがDOS/Vに対応し、DOS/Vがコンシューマーに浸透する頃にはPEを新規に選択する理由が失われてしまった。もっとも、IBM自身がより優れたソフトを大々的に発売してしまうと、サードパーティーのソフト開発を潰してしまうことになりかねないので、この流れで良かったとも言える。IBM自身でもテキストエディターは一応用意しているが、サードパーティーのソフトがあればそちらを推奨するというスタンスなのであれば。

バージョンK1.1のスクリーンショット (エミュレーター上)

Image: PE スクリーンショットImage: PE スクリーンショット

ディスク ファイル一覧

 Volume in drive A is 5605-JDD
 Volume Serial Number is 361A-11F8

 Directory of A:\

1994/02/28  01:13           117,663 PE.EXE
1994/02/28  01:13            59,815 PE.HLP
1994/02/28  01:13            12,605 PEP24.COM
1994/02/28  01:13            12,605 PEP32.COM
1994/02/28  01:13            18,177 PEPESCP.COM
1994/02/28  01:13            30,917 README.PE
1994/02/28  01:13             5,002 PE.PRO
               7 File(s)        256,784 bytes
               0 Dir(s)         470,016 bytes free

Return to PC Software Museum


inserted by FC2 system