NEC MS-DOS 3.3C ユーザーズガイド:第1部第2章 MS-DOSのインストール
第2章 MS-DOSのインストール
お買い上げいただいたMS-DOSシステムディスクは,運用するためのシステム構築が行われていないので, そのままではご使用になれません.まず,本章で解説する「インストール」の作業を行う必要があります.
インストールとは, MS-DOSを運用するためのディスクを作成する作業です.MS-DOSをインストールできるディスク装置には,固定ディスク, フロッピィディスクがあります.
MS-DOSのインストール作業を行うにあたり,次のものを用意してください.
- MS-DOS3.3C ユーザーズガイド(本書)
- MS-DOS3.3C システムディスク
- 新しいフロッピィディスク―システムディスクと同じ種類をシステムディスクと同じ枚数
これから解説するMS-DOSのインストールは,次の手順で行います.
2.1 MS-DOSシステムの起動
本節では.MS-DOSの起動方法を解説します.以降の章で解説されているMS-DOSの操作や,アプリケーションプログラムを実行する前に,必ずこの操作を行ってください.
次の手順に従って.MS-DOSシステムを起動します.
- 本体と,各種周辺装置(プリンタなど)が正しく接続されていることを確かめます.
- 周辺装置の電源をONにします.
- コンピュータ本体の電源をONにします.
- ご購入いただいたシステムディスクの."MS-DOS #1" とラベルに記されたものを,フロッピィディスク装置(ドライブ)にセットします.フロッピィディスクは奥までていねいに差し込みます.
- 本体のリセットスイッチを押します.
数秒すると,MS-DOSが動きはじめ,次のような画面が表示されます.
この画面は,"インストールコマンド"の画面です.購入したばかりのシステムディスクでシステムを起動すると,必ずこの画面が表示されます.インストールコマンドは,これからMS-DOSを運用するために必要な運用ディスクを作成するもので,以降, このインストールコマンドについて解説していきます.
2.2 MS-DOSのインストール
本節では, まず最初に行う作業"インストール"についてその手順を解説します.MS-DOSの運用方法によってインストールのしかたも変わってきます.それぞれ目的に合った解説を参照し,インストール作業を進めてください.
1.購入したばかりの固定ディスクにMS-DOSをインストールして利用する場合
―「新しい固定ディスクへのインストール」を参照
購入したばかりの固定ディスク内蔵モデルの40Mバイト固定ディスク内に,MS-DOSをインストールし, 40Mバイト固定ディスクからMS-DOSを起動,運用する場合の手順について解説しています.
2.すでにMS-DOSまたは他のソフトウェアがインストールされている
固定ディスクにMS-DOSをインストールして利用する場合
―「初期化済み固定ディスクへのインストール」を参照
すでにMS-DOSの領域が確保されている固定ディスクや,初期化しただけの固定ディスクに対してMS-DOSをインストール,運用する場合の手順について解説しています.
3. 固定ディスクを使わず,フロッピィディスクでMS-DOSを利用する場合
―「フロッピィディスクへのインストール」を参照
MS-DOSをフロッピィディスクで起動し,運用する場合の手順について解説しています.
参考
インストールコマンドを用いてMS-DOSをインストールした場合,CONFIG.SYSファイルには, プリンタドライバ,RS-232Cドライバ,AIかな漢字変換ドライバが登録されています.
他のデバイスドライバを追加したい場合や不用なデバイスドライバを削除したい場合は,システムの再起動後,CUSTOMコマンドを実行して設定してください.
新しい固定ディスクへのインストール
購入したばかりの新しい固定ディスクにMS-DOSをインストールするには,次の2つの作業が必要です.
1.固定ディスクの準備
固定ディスクの準備とは,固定ディスクの初期化, MS-DOSが使用する領域の確保の作業のことをいいます.
2.システムファイルの転送
準備ができた固定ディスクに,システムディスクからファイルをコピーする作業です.
参考 固定ディスクの準備
固定ディスクの初期化とは,購入したばかりの固定ディスクをMS-DOSや他のソフトウェアで利用できるようにするための作業です.フォーマットともいいます.
1.固定ディスクの準備
まず,固定ディスク装置全体を初期化し,つづいて領域の確保を行います.
上の画面では,固定ディスクの領域確保時にMS-DOSで確保する領域のサイズを指定します.既定値は確保可能な最大容量になっているので,通常はこのままリターンキーを押してください.それ以外のサイズにする場合は,指定のサイズを数字キーで入力し,リターンキーを押してください
入力が終了すると,次の画面になります.
この画面では,MS-DOSで確保する容量を確認して"はい"を選択してください.固定ディスクの初期化が始まり,続いて領域の確保を行います.
固定ディスクの準備が終了すると,一度システムを再起動しますのでしばらくお待ちください.
2.システムファイルの転送
システムが再起動された後,次のステップ「システムファイルの転送」に入ります.これは,システムディスク数枚に格納されているファイルを固定ディスクにコピーする作業です.コピーは, "#1"と書かれているフロッピィディスクから順番に行われます.
約1分間ファイルのコピー処理が行われた後,次の画面が表示されます.フロッピィディスク装置からシステムディスク#1を抜き取り, MS-DOS #2と書かれたフロッピィディスクをフロッピィディスク装置に差し込んでください.フロッピィディスクをセットしたらリターンキーを押します.
3枚目以降のシステムディスクも同様に,画面の指示に従って転送してください.
上記の画面が表示されるとインストールの作業は終了です.固定ディスクにインストールしたMS-DOSシステムを有効にするには,再起動する必要があります.フロッピィディスクをドライブからはずしてリターンキーを押してください.
システムを再起動すると,上記のような画面が表示されます.この画面は"メニュー画面"と呼ばれるものです.
初期化済み固定ディスクへのインストール
ここでは,固定ディスク内にすでにMS-DOSの領域が確保されていて,その領域にインストールし直す場合について解説します.
1.固定ディスクの準備
インストール先を「固定ディスク」と指定すると,次のような画面が表示されます.この画面は,固定ディスク内に確保されている領域の一覧です.
この画面では,固定ディスク全体を再度初期化するかどうかをたずねています.固定ディスクを初期化しなおして新たにインストールを行う場合は、再初期化するかを選択します.この場合は,以降の流れは前述の「新しい固定ディスクへのインストール」と同じになります.
また,すでに確保されているMS-DOS領域,または未使用領域に新たに確保した領域にインストールする場合は,"既存の領域を使用する"を選択します.
"既存の領域を使用する"を選択すると,次のような画面が表示されます.この画面では,上下のカーソルキー↑↓)を押してカーソル(反転表示部分)をインストールする領域に重ね,リターンキーを押してください.
MS-DOS領域でない領域には,MS-DOSをインストールすることはできません.
また,MS-DOS領域の場合でも,状態が"スリープ"または起動が"不可"の領域にインストールしようとするとエラーとなります.その場合は,状態が"アクティブ"で起動の欄が"可"となっている領域を選択するか,FORMATコマンドにより状態を変更してシステムを再起動するか,または前の画面に戻って"再初期化する"を選び,装置の初期化を行ってください(ただしその装置に入っていた内容は消されます).
ここで確保済みのMS-DOS領域を選択した場合は,以降の作業は前述の「新しい固定ディスクへのインストール」の「2. システムファイルの転送」と同じです.
また,未使用領域を選択した場合は,前述の「新しい固定ディスクへのインストール」と同じ作業になります.
フロッピィディスクへのインストール
フロッピィディスクにMS-DOSをインストールするには,大きく分けて次の2つの作業が必要です.
1. フロッピィディスクの準備
フロッピィディスクの準備とは,フロッピィディスクをMS-DOSや他のソフトウェアで利用できるようにするための作業です.フォーマットともいいます.
2.システムファイルの転送
準備ができたフロッピィディスクに, システムディスクからファイルをコピーする作業です.
フロッピィディスクにインストールする際には,次の点にご注意ください.
フロッピィディスクへのインストールでは,新しいフロッピィディスクが必要です.システムディスクと同じ種類のフロッピィディスクを,システムディスクと同じ枚数分用意しておいてください.
フロッピィディスクへのインストールは,本体に接続されているフロッピィディスク装置の数によって方法が変わります.ここでは, それぞれの場合に分けて解説します.
- フロッピィディスク装置が1台の場合
- フロッピィディスク装置が1台,RAMドライブが1台の場合(98NOTEなど)
- フロッピィディスク装置が2台以上ある場合
〈フロッピィディスク装置がl台の場合〉
フロッピィディスク装置が1台のみのシステムでは,インストールコマンドを用いてフロッピィディスクにMS-DOSをインストールすることはできません.この場合は,次のような方法でMS-DOSをインストールしてください
- FORMATコマンドを使って,システムディスクと同じ枚数のフロッピィディスクを初期化する.
- DISKCOPYコマンドを使って,1で初期化したフロッピィディスクにシステムディスクをコピーする.
- 2でシステムディスクをコピーしたフロッピィディスクをフロッピィディスク装置(ドライブA)にセットし,キーボードから次のように入力する.
〈フロッピィディスク装置がl台, RAMドライブが1台の場合(98NOTEなど)〉
- 98NOTEでは,RAMドライブをフロッピィディスクへのインストールの際の作業領域として使用するため,インストールコマンドで"フロッピィディスク"を選択すると,もともとRAMドライブに入っていた内容は消えてしまいます.RAMドライブ内の内容を保存する必要がある場合は,インストールコマンドが実行されたらESCキーを押して,いったんインストールコマンドを中止してください.その後,HELPキーを押しながらシステムを再起動し,表示されたNOTEメニューを用いてフロッピィディスクにバックアップを取った後に,再度インストールを試みてください.
- RAMドライブが使用不可またはライトプロテクトされている場合は,98NOTEメニューを用いてRAMドライブを使用可に,またライトプロテクトなしの状態にし,再度インストールを試みてください.
1 フロッピィディスクの準備
MS-DOSをフロッピィディスクにインストールする場合は, RAMドライブを作業領域に使用します.その準備のため, RAMドライブを初期化(すべての内容を消去すること)しでもよいかどうかを尋ねています.RAMドライブを初期化しでもよければ,カーソル(反転表示部分)を「はい」の上に重ね,リターンキーを押してください.
しばらくすると,次の画面が表示されます.フロッピィディスク装置からシステムディスク#1を抜き取り,運用ディスクとなる新しいフロッピィディスクのうちの1枚を,フロッピィディスク装置に差し込んでください.フロッピィディスクをセットしたらリターンキーを押します.
リターンキーを押すと1枚目のフロッピィディスクの初期化が開始されます.
次に, 2枚目の運用ディスク作成用フロッピィディスクに差し替える旨のメッセージが表示されるので, 1枚目のフロッピィディスクと同様にフロッピィディスクの差し替え操作を行い, 2枚目のフロッピィディスクを初期化します.以降同様に,指示に従って初期化してください.
2. システムファイルの転送
フロッピィディスクの初期化が行われた後,次の画面が表示されます.フロッピィディスク装置から初期化済みのフロッピィディスクを抜き取り,運用ディスク#1用に初期化されたフロッピィディスクをフロッピィディスク装置に差し込んでください.フロッピィディスクをセットしたらリターンキーを押してください.
約1分間の書き込み処理が行われた後, 2枚目以降のシステムディスクの読み込み,運用ディスクへの書き込みを行います.画面のメッセージに従って操作してください.
次の画面が表示されたら, インストールの作業は終わりです.運用ディスク#1をフロッピィディスク装置にセットしてリターンキーを押すと,運用ディスクからMS-DOSが起動されます.
〈フロッピィディスク装置が2台以上ある場合〉
1.フロッピィディスクの準備
MS-DOSをフロッピィディスクで運用する場合には,インストールコマンドの最初の画面で「フロッピィディスク」を選択します.
運用ディスクを作成するドライブを選んで,リターンキーを押してください.
ドライブの選択が行われた後,次の画面が表示されます.運用ディスクとなる新しいフロッピィディスクのうちの1枚を指定されたフロッピィディスク装置に差し込んでください.フロッピィディスクをセットしたらリターンキーを押します.
リターンキーを押すと1枚目のフロッピィディスクの初期化が開始されます.
2枚目以降のフロッピィディスクについても同様に,画面の指示に従ってフロッピィディスクを差し替え,初期化してください.
2.システムファイルの転送
フロッピィディスクの初期化が行われた後,次の画面が表示されます.フロッピィディスク装置から初期化済みの運用ディスクを抜き取り,運用ディスク#1となるフロッピィディスクをフロッピィディスク装置に差し込んでください.フロッピィディスクをセットしたらリターンキーを押します.
2枚目以降のフロッピィディスクについても同様に,画面の指示に従って作業してください.ただし, 2枚目以降はシステムディスク,運用ディスクを両方差し替える必要があります.
すべてのシステムディスクの転送が終わると,次の画面が表示されます.
これでインストールの作業は終了です.運用ディスク#1をフロッピィディスク装置(ドライブA)にセットしてリターンキーを押すと, MS-DOSが運用ディスク#1から起動されます.
2.3 インストール後にすること
前節(2.2)では. MS-DOS のインストール(運用ディスクの作成)方法について解説しました.本節では,「インストール後に行うこと」について解説します.
システムディスクは保管する
お買い上げいただいたシステムディスクは大切なものです.このディスクはインストールした運用ディスクが損傷して使用できなくなった場合に,再度インストールを行うために使用します.インストールが終了したら大切に保管しておいてください.
参考
前項2.2でインストールした固定ディスク,フロッピィディスクの内容は,お買い上げいただいたシステムディスクと同じ内容です.本書では,次章以降,これらのディスクのことを"システムディスク"または"運用ディスク"と呼びます.
次に何をするか
インストールが終了したら,運用に入ります.運用の形態としては,1.アプリケーションプログラムを利用する,2.MS-DOSを勉強するの2つが考えられます.本書の後半には.MS-DOSの運用時に役に立つ情報が記載されています.それぞれの目的に合った部分をお読みください.
- ワードプロセッサなどのアプリケーションプログラムを使いたい
ワードプロセッサや表計算ソフトなどのアプリケーションプログラムを利用する場合は,「第1部第3章アプリケーションプログラムの登録」へ進んでください. - MS-DOSを勉強したい
MS-DOSの基礎を勉強したい場合は,「第2部MS-OOS の使い方」へ進んでください.
出典:NEC MS-DOS 3.3C ユーザーズガイド、日本電気株式会社、1990年発行