AX仕様の概要とPC/AT互換機との違い

PC/AT互換機との違い

AX仕様はPC/AT互換機との互換性を維持しつつ日本語サポートに必要な機能だけを定めている。英語モードではPC/AT互換機と同等のように振る舞い、日本語モード時のみ日本語処理に必要な機能が有効になる。日本語モードと英語モードの切替はBIOSでサポートされる。電源オン時の状態では英語モードになっており、AXに対応したソフトウェアによって日本語モードに切り替えられ、AXに対応していないPC/AT互換機用ソフトウェアは英語モードでそのまま使用できる。主に機能の追加や変更が行われた事項を次に挙げる。

キーボード

Image: AXキーボード配列

PC/ATの101キーボードをベースに日本語処理に必要なキーの追加および機能変更が行われている。具体的な変更点は次の通り。

キー番号 キーボードスキャンコード システムスキャンコード
  MAKE BREAK MAKE BREAK
56(ロ) 61 F0-61 56 D6
62(漢字) E0-11 E0-F0-11 E0-38 E0-B8
64(英数カナ) E0-14 E0-F0-14 E0-1D E0-9D
70(無変換) 17 F0-17 5A DA
71(変換) 1F F0-1F 5B DB
110(AX) 27 F0-27 5C DC

グラフィック

AXの事実上のリファレンスモデルである三洋MBC-17Jシリーズでは、JEGAボードにChips and Technologies社のEGAチップセット(SEGA:82C435, BEGA:82A436)と、アスキー社の日本語拡張LSI(JEGA:V6367)が用いられている。特徴は次の通り。

  1. EGA仕様をベースにテキストモードでの2バイトコードの日本語表示機能が追加された。
  2. シフトJISコードを内部処理のコードとすることで高速処理が可能になった。
  3. SUPER EGAおよびVGAのグラフィックス仕様と同じ解像度を採用した。
  4. 80桁×25行のモードで罫線表示を可能にした。
  5. EGAモードを実現した上で、JEGAモードを追加することにより、海外IBM PC用のアプリケーションをそのまま実行できるようにした。(ただしキャラクタジェネレータのコードを利用したものは表示が異なる)

EGAモードとJEGAモードの違いは次の通り。

  EGAモード JEGAモード
画面モード 0-10h 0-10h, 52h, 53h
半角文字サイズ 8x8, 8x14 8x8, 8x14, 8x19
全角文字サイズ サポートなし 16x19 (Letter size:15x16)
漢字サポート なし 可能
スーパーインポーズ 不可能 可能(AX-2システム)

次の図はJEGAのインターフェースについてのブロックダイアグラム。

Image: JEGAインターフェース ブロックダイアグラム

日本語モードには機種によってAX-1システムとAX-2システムがあり、AX-2システムではEGAチップを2つ持つことにより日本語モードのテキスト画面とグラフィック画面の重ね合わせ(スーパーインポーズ)をサポートする。

JEGAの詳細仕様については別項を参照。

プリンター

プリンター出力の日本語・英語モードの切り替え、JIS/SJISコード変換をBIOSでサポートしている。日本語モード時のプリンタデータ出力は全てJIS漢字コードとなり、英語モード時はすべてそのまま出力される。詳細は省く。


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